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「由伸が150キロ出したらしい」噂を聞いた中学時代のコーチは驚いた…「こんなに成長するんだ」“痛烈な一発”から始まった山本由伸の急成長 

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花田雪

花田雪Kiyomu Hanada

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posted2023/03/13 11:03

「由伸が150キロ出したらしい」噂を聞いた中学時代のコーチは驚いた…「こんなに成長するんだ」“痛烈な一発”から始まった山本由伸の急成長<Number Web> photograph by Getty Images

かつての指導者たちが「まさかプロに行くとは…」と口を揃えるほど、飛び抜けた選手ではなかったという山本由伸。今や球界を代表するエースに成長した

 岡山県で生まれ育った山本少年にとって、宮崎は縁もゆかりもない土地。

 そんな彼が、越境入学を決意した理由が、のちに都城高校で監督と教え子という間柄になる森松賢容との出会いだった。

「森松さんは岡山の作陽高校でコーチをやっていたんですけど、その年の夏から都城の監督に就任していたんですね。その縁もあってウチのOBも都城に行っていたんですけど、挨拶に来てくれたときに由伸の投球を見て、たぶん一目惚れしたんでしょうね。『あの子、連れて行っていいですか?』って言われましたね。一期一会ですよね、本当に。その出会いがなければ今の由伸はないと思います」

 中学3年時点で、特に県内の高校から誘われるようなこともなかった。

 唯一、声を掛けてくれたのが、都城高校の森松監督だ。

「誘いがあるという話をしたら、由伸も『行きます』と。宮崎は遠いですけど、先に進学していたOBも、もともと仲が良い子でしたから決意はしやすかったのかもしれません。そこからは見違えるように野球に真剣に取り組み始めましたよ。指導者の立場からすると『もうちょっと早く、その本気を見せてくれよ』と思いましたけどね(笑)」

中学卒業するまでに球速10キロUP

 都城高校への進学が決まり、現役時代以上に野球に真剣に取り組むようになった山本少年。その成果はすぐに表れる。

 夏までは120キロそこそこだった球速が、中学を卒業するころには130キロに達するまでになっていた。

「こんなに成長するんだ、とビックリしました。チームで二枚看板を任せていた馬迫には悪いですけど、卒業時点では正直、ふたりの間にはすでに実力差があった気がします」

 ともに投手として競い合ったライバルに差をつけるほどの急成長。

 ただ、それでも東岡山ボーイズの指導者たちは、「さすがにプロに行くとは思わなかった」と語る。

「中学を卒業して、宮崎に行ってからは試合も見れませんし、噂で話を聞く程度です。だから2年くらいして『由伸が150キロ出したらしいよ』と聞いても『え? 人違いじゃないの?』ってね(笑)。3年になって、ドラフト候補生と言われるようになってもピンときませんでした。中学時代の由伸と、話だけを聞く由伸に差があり過ぎてね」

【次ページ】 「指名された瞬間は、感無量」

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