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“5年123億円”のマッチョ打撃…「ドン、ドンッ、上空でさらにドンッ」侍アベレージヒッター吉田正尚が「室伏広治さんから学んだこと」とは 

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photograph byNaoya Sanuki

posted2023/03/12 17:06

“5年123億円”のマッチョ打撃…「ドン、ドンッ、上空でさらにドンッ」侍アベレージヒッター吉田正尚が「室伏広治さんから学んだこと」とは<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

走者の還し役として侍ジャパンで機能する吉田正尚。彼の打撃力の背景とは

 青山学院大時代には2学年上だった杉本は、社会人野球を経て吉田と“同期”でオリックスに入団した。しかし吉田はドラ1、杉本は「ドラフト10位」というのは、当時の期待値の表れだったのだろう。実際にプロ入り後も、ルーキーイヤーから活躍した吉田とは対照的に、杉本はプロ4年目までほぼ鳴かず飛ばずの成績で、二軍が主戦場だった。

 それでも2020年途中、チームが中嶋聡体制になって以降出番をつかみ始めると、2021年に本格的に覚醒。パ・リーグ本塁打王(32本)に輝き、1996年以来となるリーグ優勝の立役者の1人となった。このシーズンは序盤から「4番」に座る機会が多かった杉本だが、そのポジションはチームにとって課題でもあった。それは吉田正尚の「うしろ」である。吉田の凄さを誰よりも理解している杉本だからこそ、吉田を生かすために何が必要か、自分の役割を整理できた。

「誰がどう見ても、あいつが一番いいバッター。だから、誰があいつの後を打っても、(吉田が)勝負を避けられるというのはあると思うけど、なるべくそうならないようにしたいんです」

 翌2022年は相手球団のマークに苦しみ成績を落としたが、日本シリーズではことごとく大事な場面で決勝打を放ってチームを日本一に導き、自身もMVPを獲得した。ホームラン時のラオウばりの「昇天ポーズ」でお馴染みの杉本もまた、吉田の存在によって引き上げられた1人と言えるだろう。

室伏氏との肉体トレーニング秘話

<名言3>
野球選手も出ていたので興味を持って観たんですけど、そうしたアスリートの中でも室伏さんは、パワーもスピードも、群を抜いて圧倒していた姿が印象的でした。
(吉田正尚/NumberWeb 2021年8月4日配信)

◇解説◇
 吉田は2年前の国際舞台でもしっかりと結果を残している。真夏の福島・横浜スタジアムで開催された東京五輪だ。準々決勝アメリカ戦で先制タイムリーを放つなど確実性の高い打撃を見せると、アメリカとの決勝戦でも1-0の8回に貴重な追加点を導きだす安打を放ち、大会通算打率.350とヒットメーカーぶりを発揮して金メダル獲得に貢献した。

 そんな吉田だが、実は“意外な金メダリスト”との交流があった。それはアテネ五輪ハンマー投げ金メダリストである室伏広治氏だ。吉田が幼少の頃に見たテレビ番組『筋肉番付』での室伏氏の躍動ぶりに感銘を受けていたのだが、腰痛などで苦しんだプロ入後にトレーニング方法を学ぶため、一念発起して室伏氏に手紙を書いたという。すると室伏氏も「やりましょう」と快諾した。

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