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“ずっとスタメンの男”牧秀悟(24歳)は侍ジャパンを世界一に導く? 恩師たちが語る“牧を外せない”理由「この子を育てられなかったら…」 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/03/09 11:02

“ずっとスタメンの男”牧秀悟(24歳)は侍ジャパンを世界一に導く? 恩師たちが語る“牧を外せない”理由「この子を育てられなかったら…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

178cm・93kgの体格からあふれるパワーだけでなく、俊敏性も魅力の牧秀悟(24歳)。各世代で信頼を勝ち取ってきた男は、WBCでもきっと頼りになる

「想像以上ですね。順調すぎるくらい順調」

 中央大の清水監督は、そう言って教え子の活躍に目を細める。

 牧が入学したタイミングで監督に復帰し、4年間にわたって主軸として起用し続けた。ただ、側から見ると2年春までは“我慢して使っている”という印象だった。

 1年春から遊撃手として起用されたものの、ミスが目立ち、打撃も打率.229と低調。17年秋は打率.255、18年春は打率.128と結果を出せない時期が続いた。しかし、それでも清水監督が牧をスタメンから外さなかったのは「広角に長打が打てる」「4年生になったら中心選手になってほしい」との思いがあったからだ。何より、清水監督もまた、牧の野球に向き合う姿勢を評価していた。

「先輩についていくことにいっぱいいっぱいに見えた時はありました。でもグラウンドでは下を向いたり落ち込んだりする姿は見せませんでした」

 歯を食いしばって練習に取り組んだ牧は、2年秋に打率.271を残し、遊撃手として東都大学リーグのベストナインに選ばれた。

大学時代に“ジャパン”を経験済み

 3年春からは、昨秋ドラフト候補だった遊撃手・中川拓紀(現・Honda鈴鹿)の台頭もあって、より打撃を生かすべく二塁手に専念。すると、19年春は打率.400を叩き出し、リーグ首位打者を獲得。才能は一気に花開き、侍ジャパン大学代表にも文句なしで選出された。

 代表活動では世代トップレベルの選手たちと練習し、MLB予備軍とも言える米国代表と対戦。「緊張しましたが、自分のプレーができました」と振り返ったように、本塁打を含む5試合5打点の活躍で優勝に貢献した。

 また、チームメイトからも積極的に学びを得た。1学年上にあたる柳町達(慶應義塾大、現・ソフトバンク)から初球の待ち方や2ストライクと追い込まれてからの意識を学び「野球の見方が変わりました」と大きな刺激を受けた。

 その成果はすぐに現れ、19年秋は11試合で打率.361、14打点の大活躍。中央大を30季ぶり(15年ぶり)のリーグ優勝に導き、自身も最高殊勲選手にも選出された。

【次ページ】 「頭の中の整理もちゃんとできている」

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