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「韓国のイチロー」は名古屋市生まれ、父は元中日…韓国代表で警戒すべき4人の“北京キッズ”「兵役明けの“第2の呉昇桓”も…」
posted2023/03/10 11:00
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph by
Getty Images
「今回も失敗すれば韓国野球に対する視線はさらに厳しくなるだろう。だから、個人主義を捨て、国のことだけを考えなければならない。過去2度の失敗を再び繰り返してはならないという危機感を持ってほしい」
現役時代に巨人などで活躍し、WBCにも第1回と第3回に出場したイ・スンヨプは、第5回大会に挑む後輩たちにこう呼びかけた。「歴代最強」や「ドリームチーム」の触れ込みで大盛り上がりを見せる侍ジャパンと対照的に、韓国代表からはいつになく切実な使命感が感じられる。
WBCで日本と数々の死闘を繰り広げた時代も今は昔。第3~4回WBCはいずれも1次ラウンドで敗退し、2021年の東京五輪では屈辱のメダルなしに終わった。国際大会での不振に加えて八百長関与、飲酒運転、コロナ防疫違反など選手間で不祥事も続出し、韓国野球への失望感はさらに高まった。
だからこそ、今回のWBCを野球人気復活の足がかりにしたいと関係者たちは祈りを込める。そこでイ・スンヨプが注目するのが、韓国が金メダルに輝いた2008年北京五輪の栄光を見て育った1990年代後半~2000年代前半生まれの若手たちだ。
「KBOで活躍する『北京キッズ』たちが、今回のWBCで韓国代表の主力を担う。プロを志す子どもたちが希望を見出すためにも、責任感を抱いて戦ってほしい」
名古屋生まれの「韓国のイチロー」
韓国球界の英雄が期待を寄せる「北京キッズ」。その中心に「球界の至宝」と呼ばれる若き天才打者がいる。
彼の名はイ・ジョンフ(キウム・ヒーローズ)。父はかつて中日ドラゴンズに在籍し、第1回WBCで韓国代表キャプテンを務めたイ・ジョンボムだ。父の来日初年度である1998年に、愛知県名古屋市で誕生した。
イ・ジョンボム氏はKBO発足40周年を記念し、昨年9月に発表された「KBO LEAGUE 40 LEGENDS」で3番目に多い得票数を記録するなど、韓国球史に残る偉大な選手だった。
そんな名プレーヤーの息子という期待に、イ・ジョンフは結果で応えてきた。プロ1年目の2017年に新人王のタイトルを獲得すると、翌2018年から昨季までNPBのベストナインに相当するゴールデングラブ賞を5年連続受賞した。