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「韓国のイチロー」は名古屋市生まれ、父は元中日…韓国代表で警戒すべき4人の“北京キッズ”「兵役明けの“第2の呉昇桓”も…」
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byGetty Images
posted2023/03/10 11:00
2019年の世界野球WBSCプレミアにも韓国代表として出場したイ・ジョンフ。「韓国のイチロー」と呼ばれるだけあって所属する「キウム・ヒーローズ」でも背番号は「51」
そのイ・ジョンフに限らず、韓国代表には大会での活躍を期待される若手が多くいる。まずソン氏が挙げたのが、ク・チャンモ(NCダイノス)、イ・ウィリ(KIAタイガース)の2人の左腕投手だ。
「彼らはかつて若きリュ・ヒョンジン(ブルージェイズ)とキム・グァンヒョン(SSGランダース)が担った“左腕エース”の役割を果たすべき先発投手。ク・チャンモは国内トップクラスの球威を持ち、2002年生まれで代表最年少のイ・ウィリも、プロ2年目にして所属チームではすでに先発の一角を確固たるものとしています。
2年前の東京五輪もそうでしたが、近年の代表には確固たるエースと呼べる選手がいなかった。韓国が国際大会で好成績を収めたとき、代表には常にエースの存在がありました。その意味で、ク・チャンモとイ・ウィリは次世代の韓国球界を担うエースとなるためにも、WBCでその自覚を持ってほしい選手なのです」
また、キム記者のイチ押しは23歳の投手チョン・チョルウォン(斗山ベアーズ)。2018年にプロ入り後、兵役のため2020~2021年の2シーズンで空白期間があったにもかかわらず、実質的なデビューイヤーである昨季のKBO新人王に輝いたクローザーで、「第2のオ・スンファン」の呼び声も高い選手である。
「彼はメンタルが素晴らしい。まだ23歳と若いですがどんな相手にもまったく気後れせず、チャレンジ精神が強い。国際大会は今回が初出場ですが、萎縮することなく堂々と投げるのではないでしょうか。WBCは球数制限のため上手く継投策を敷く必要がありますが、チョン・チョルウォンが良い役割を果たすでしょう」
韓国野球の未来を懸けて戦うWBC
17年前の2006年3月5日、東京ドームで行われた第1回WBC1次ラウンド第3戦の日本戦で、韓国はイ・スンヨプが8回に放った2ラン本塁打により3−2で逆転勝利した。また、15日の2次ラウンド第3戦ではイ・ジョンボムが適時二塁打を放ち、こちらも2−1で制した。
当時7歳のイ・ジョンフ少年は、いずれの試合も父の応援のため現地で観戦していた。
「父は『WBCは本当に素晴らしい大会だ』と話していました。僕自身、父の決勝打もイ・スンヨプさんのホームランもずっと記憶に残っています。その活躍する姿に憧れて、自分もWBCの舞台に立ちたいと思うようになりました。
幼い頃の自分がそうだったように、今回のWBCで僕らが良い成績を収めてこそ、これから野球をする後輩たちの未来につながる。野球を知らなかった人たち、野球にかかわりがなかった人たちが僕らの活躍を見て野球を知り、競技を始めるようになれば、国内の野球人気も向上するのではないでしょうか」
絶体絶命の窮地に立たされている韓国野球。その命運はイ・ジョンフたち若き希望の星に託された。
<「韓国は侍ジャパンをどう見ている?」編に続く>
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