「大山康晴先生、中原誠先生、谷川浩司先生に羽生先生、渡辺明名人ときて、藤井さんが現れた。それぞれ時代を築いていく中で、各タイトル戦で大棋士から大棋士へと受け継いできたものがある。それを羽生先生が伝える立場となり、藤井さんもまた、対局を通じて自身を形成している。そういった意義も、今回の王将戦にはあるのだと感じています。
　ただそれと同時に、この対局が始まりの一歩なのではとも感じます。2日制の対局である王将戦で、2人は長時間にわたって盤を挟んでいる。そこで藤井さんも羽生先生も新たな気づきをインプットして、さらなる成長を感じ取っているはずです」

過去何度か対戦はあるも、タイトル戦では初めて相まみえた両者　©BUNGEISHUNJU

「僕自身も見てみたい」運命の第7局

　感想戦ではそれぞれの意図を披露しあって、藤井も羽生もマスク越しでも分かるほど穏やかな表情を浮かべていた。

「本当に強い藤井さんと羽生先生なら、第7局までもつれ込んでも何らおかしくない。むしろ僕自身も見てみたいですからね」

　高見ら棋士をも魅了する第72期王将戦は果たして、どんな物語を紡ぐのか――。

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