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渡邊雄太のプレー時間が減る? NBA優勝候補ネッツ“突然の解体劇”の影響を現地記者が報告「ビジネスだと割り切るしかない」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2023/02/24 11:00
デュラントらをトレードで放出するなど、大きな方針転換を決断したネッツ。当面は新戦力を重用する時間が続くことが予想され、渡邊雄太に再び試練が訪れた
「(プレーイングタイムが減ることは)このメンバーがトレードされた時にわかっていました。今までと違うのは、僕はこのシーズンを通じていいパフォーマンスができていること。去年、(トロント・)ラプターズではケガ人もあって最初は試合に出ていたんですが、そこから自分のパフォーマンスが悪くなり、コーチの信頼を得られなくなったために出られない状態が続きました。今はそうではありません。だから自分自身で心配することではなく、常に準備しておくだけです」
そんな言葉通り、もちろん多少のアップ&ダウンはあったものの、今季の渡邊は総じてコンスタントに高いレベルのパフォーマンスを続けていた。
プレー機会が激減する直前の2月9日、日本から訪れたご両親がコートサイドで見守ったシカゴ・ブルズ戦では合計4本の3Pを決め、14得点をマークしてネッツの勝利に貢献した。ここまでのプレーイングタイム、平均得点、FG成功率といった多くの主要スタッツは自己最高。規定にこそ到達していないものの、3P成功率48.1%は依然として100本以上を試投した選手の中ではトップの数字である。
もっと大きくなるためのステップ
NBAで5年目を迎えた渡邊は、シーズンを通じてコンテンダー(優勝候補)と呼びえるトップチームに貢献できることを示してきた。プレーメイカーたちが切り開いたスペースを生かせるという点で、スーパースターレベルの選手たちとのフィットの良さを証明してきた。今後に何があろうと、ここまでに成し遂げたことは来季以降の契約、チーム探しを考えた上でも大きな意味を持ってくるはず。そして、これらの経験を糧に、さらに前に進むこともできる。
「ニューヨークは好きですし、このチームも好きです。メンバーはガラッと変わりますけど、まだ残りのシーズンは続きます。これだけウィングがいたらまた大変なんですけど、このチームで残りのシーズン頑張っていきたいと思っています」
気丈にそう述べていた渡邊だが、前述通り、プレーイングタイムの確保はしばらく厳しい時間が続くだろう。シーズン途中でウィング過多のチームになったことはやはり不運ではあり、ネッツのローテーションの選別には契約形態が影響している印象も受ける。それでも今、やるべきことはこの状況でも腐らず、さらに腕を磨き、いずれまた訪れるであろう活躍の機会を待つこと。もっと向上し、どんなチーム状態だろうと、どれだけウィングが増えようと、それでも外されないだけの力をつけること。
再び厳しい試練の到来だが、まだ伸びしろは残っている。これまでの渡邊は何度も何度も崖っぷちに立たされ、そのたびにより成長して戦線に戻ってきた。だとすれば、今回の最新のチャレンジは、もっと大きくなるためのステップに過ぎないと信じることもできるはずである。
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