濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
詐欺容疑でベルト返上、ぱんちゃん璃奈の“謝罪会見”に残る疑問…取材記者が覚えた“違和感”の正体「なぜ復帰会見を同時に行ったのか?」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/02/21 17:02
2月17日に会見を開き、詐欺事件の謝罪とともに格闘技復帰を表明したぱんちゃん璃奈
「ファイターとして再出発する以上は強くあってほしいですし、強くなければいけない。いろいろな意味で強くなってほしい」
宮田氏は言う。ぱんちゃんはこうコメントした。
「復帰が早すぎるという声があって当たり前だと思います。そこをしっかり受け止めたい。ただ応援してくれる方がまだたくさんいるので、また頑張らせていただきたいです」
3.5代々木大会は逮捕後初のリングとなる。だが、12月の逮捕からそこまでの期間は、選手としての謹慎期間や出場停止期間というわけではない。彼女は昨年3月の試合を最後にヒザの負傷で欠場が続いている。3月のエキシビションも5月ないし6月の公式復帰戦も、回復が順調だからプランされたこと。つまりケガが治りしだいカムバックするという流れだ。可能な限り最短での復帰。そこに、事件に関連する要素は一つもない。
ペナルティは無し「警察から『問題ない』と…」
運営側として、出場停止など何らかのペナルティを科すことはないのか。宮田氏に聞くと「ない」との回答だった。
「警察からプロ活動は問題ないという言葉をいただいたのが先にあります。ペナルティを与えるべきとおっしゃるのであればそうかもしれませんが、KNOCK OUTとしてそういうものを設けずに試合を組む流れは私が決めました。多くの意見をいただくかもしれませんが、自分の責任として受け止めたいです。これが早いと思うか遅いと思うかは人それぞれ。私はブランクをあけさせたくないです。咎めがあるのであれば試合はさせられないですが」
警察からプロファイターとしての活動は問題ないと了承を得ている。自分の責任で試合を組むことにした。それは分かるが、聞きたいのは「なぜ」だった。なぜ“最短復帰”なのか。世間の反応は意識していないのか。謝罪はするがペナルティはないということなら、そこに理由があるはずではないのか。意地悪な見方をすれば「頭を下げて終わりか。運営側は今回の事件をそこまで大ごとではないと捉えているのか」と言うこともできる。
選手としての今後を第一に考えての判断ということでいいですか? そう聞くと宮田氏は「その通りだと思います」。何か助け舟を出したようになってしまった。
他の記者からも、社会貢献活動などで反省と謝罪の意を示すようなことは考えているかという質問があった。それもないようだ。ただ「ファイトマネーは全額、寄付します」とぱんちゃんはコメント。「今回はいただく資格はないと思っているので」という理由からだ。