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ダルビッシュ36歳「気負わず」に重み…大谷翔平、山本由伸や佐々木朗希ら超充実だからこそ願う「圧倒的エースを作らない」投手運用 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2023/02/17 17:08

ダルビッシュ36歳「気負わず」に重み…大谷翔平、山本由伸や佐々木朗希ら超充実だからこそ願う「圧倒的エースを作らない」投手運用<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2009年WBC強化合宿での松坂大輔とダルビッシュ有

ダルビッシュ有(パドレス)36歳
30試16勝8敗194.2回 率3.10

山本由伸(オリックス)24歳
26試15勝5敗193回 率1.68

戸郷翔征(巨人)22歳
25試12勝8敗171.2回 率2.62

大谷翔平(エンゼルス)28歳
28試15勝9敗166回 率2.33

伊藤大海(日本ハム)25歳
26試10勝9敗155.2回 率2.95

宮城大弥(オリックス)21歳
24試11勝8敗148.1回 率3.16

今永昇太(DeNA)29歳
21試11勝4敗143.2回 率2.26

佐々木朗希(ロッテ)21歳
20試9勝4敗129.1回 率2.02

髙橋宏斗(中日)20歳
19試6勝7敗116.2回 率2.47

高橋奎二(ヤクルト)25歳
17試8勝2敗102.2回 率2.63

 20代前半、日の出の勢いの日本人スターターに、ともにサイ・ヤング賞の最終候補に上ったことがあるダルビッシュ有と大谷翔平が加わった。彼らが「先発」「第2先発」に振り分けられていく。

「圧倒的エースを作らない」投手運用を願いたい

 この顔ぶれを見て、筆者が思うのは「圧倒的なエースを作らないでほしい」ということだ。

 WBCのような短期決戦では、試合を重ねるうちに「使える投手」「使えない投手」ができ、重要な試合で投げる投手が絞り込まれていく。それは必然的ではあるのだが、限られた投手にプレッシャーがかかり過ぎないような配慮が必要だろう。

 筆者が懸念するのは山本由伸である。彼は2021年の東京オリンピックでは、オープニングラウンド開幕戦でドミニカ共和国を6回2被安打9奪三振で零封、準決勝では韓国を5.1回5被安打9奪三振、自責点2。いずれも味方の援護がないもつれた試合となって勝ち星はつかなかったが、山本はエースの働きをしてオールオリンピックチーム(ベストナイン)の右腕投手に選ばれた。

 この年のオリックスは日本シリーズまで進出したため、山本の投球数は3500球を超えた。そして翌2022年もオリックスはリーグ連覇。山本は2年連続の沢村賞に輝いたものの、日本シリーズ初戦で左わき腹を痛めて戦線離脱した。WBCは山本にとって、それ以来の「真剣勝負の場」になる。

大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希らもいる中で

 広島の森下暢仁は東京五輪のオープニングラウンド、メキシコ戦で5回5被安打3奪三振、自責点2。決勝のアメリカ戦で5回3被安打5奪三振、零封で2勝を挙げ、山本に次ぐ活躍をした。しかし昨秋、右ひじ手術をして侍ジャパンには参加していない。彼らが五輪での力投が原因で戦線離脱、故障したと断じることはできないが――日本人投手は五輪で全力投球していたのは確かだ。

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