また、夏の大会前の関東遠征では日体大とオープン戦を行い、3年生のみならず、2年生もアピールさせる。これも、進んだ大学で下級生のうちから活躍してほしいという西谷監督の親心に他ならない。今年の3年生は全員、大学・社会人で野球を続ける予定。全員野球続行というのは他の高校を見ても珍しく、出口に手厚いからこそ、有望な選手が全国から集まるのもうなずける。

指名漏れした有望選手はどこに？

川原嗣貴はドラフト指名がかからず、Honda鈴鹿で野球を続ける ©Nanae Suzuki

　プロ志望届を提出しながら指名漏れした甲子園球児たちも次なるステージを見据える。大阪桐蔭では最速150キロ右腕のエース川原嗣貴はHonda鈴鹿、甲子園通算3本塁打を放った強肩強打の外野手・海老根優大はSUBARUへの入社が内定した。競輪選手の恵太を父に持つ海老根は3月6日に開幕する「第77回JABA東京スポニチ大会」でのデビューが期待される。U18日本代表でも活躍した両輪は社会人の強豪から3年後、上位でのプロ入りを果たす。

海老根優大外野手 ©Nanae Suzuki

　昨夏8強入りした愛工大名電（愛知）の二刀流・山田空暉は独立リーグの愛媛マンダリンパイレーツに。4番打者として高校通算11本塁打、投げては最速145キロをマークするなど、ポテンシャルはプロのスカウトも認めるところ。最短で今秋ドラフトでの指名を目指し、四国の地で腕をぶす。同じく愛工大名電で3番打者として活躍した伊藤基佑は福岡六大学リーグの日本経済大に進むことが決まった。

入寮の際に兄・村上宗隆のバットを持参した慶太

4番を任された村上慶太。甲子園はベスト8　©Nanae Suzuki

　昨年、3冠王に輝いた村上宗隆（ヤクルト）の弟で、九州学院（熊本）のスラッガー・村上慶太は東都大学リーグの日本大で鍛錬を積む。4番打者として昨夏8強入りにも貢献。昨秋国体では立大へ進学することが決まった聖光学院（福島）の最速142キロ右腕・佐山未來から逆方向の左翼へ運ぶ本塁打を放った。入寮の際には兄のバットを持参。4年後に同じ舞台へ立つためには、兄のホームグラウンドでもある神宮での活躍が必須条件だ。

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