ちょうど天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会の開催期間中だったこともあり、母から届いた「“古賀紗理那”で戦う最後の試合だから、絶対に勝ちなよ」「“西田紗理那”で出る初めての試合なんだから、頑張って優勝しなさい！」の愛がこもった檄も力になったと笑う。

「やってきたバレーは間違っていないと思いながらもNECとしてなかなかタイトルが獲れていなかった。結婚したからという理由だけじゃなく、絶対に勝ちたい、勝って私たちがやろうとしていること、やってきたことは間違っていないと証明したいという気持ちが、今まで以上に強くありました」

　世界選手権から続くハードスケジュールに加え、大会中に受傷した右足首のケガの影響も危惧された。実際に疲労も残っていたが、NECがスピードコーチとして招聘した里大輔氏からの「身体の使い方、跳び方を変えれば古賀はもっともっと伸びるし、ピークはこれから」という指摘もプラスと転じた。

　十分なトレーニングを重ねて臨んだ結果、心身ともにコンディションは上々で、その成果を皇后杯でも存分に発揮。MVPも受賞する活躍で初優勝を飾り、同じく西田も2季ぶりに復帰したジェイテクトで2年ぶり2度目の優勝に貢献した。

「チームは違うけど、お互い勝手に『アベック優勝できたね』と言い合えて、嬉しかったです。でも『そっち（西田）はMVPじゃないね』といじりましたけど（笑）」

祖母も祝福「本物の西田くんや！」

　両家の家族からも祝福を受け、西田との電話で「本物の西田くんや！」と興奮していた祖母からは「紗理那がパリオリンピックに出るところを見るのと、紗理那の結婚式に出ることがばあちゃんの夢」と新たな楽しみを託された。

　川崎と刈谷、互いの拠点が異なるため、しばらくは別居婚が続くが、どんな時も味方でいてくれる家族の存在は、いつでも何よりの活力だ。

「結婚したから、と叩いてくる人もいるかもしれないけれど、そこは全然、気にならないです。人によってとらえ方が違って当たり前で、叩く人もいるけれど、応援してくれる人もいる。だから私は自分のプレーにフォーカスして頑張りたい、というのが一番強いし、男女の違いがあるとはいえプレーや、考え方を教えてもらって知識も増えるのも楽しいし、選手としてプラスでしかない。

　西田くんも『俺、既読無視されても1年間頑張ってめげずに戦ってよかった』と言っているし（笑）、とにかく優しい。結婚して、ほんとによかったです」

　週末の試合に向け、抽出された課題解決に向けた練習をこなし、また戦う。今日も変わらず、アスリートとしての日々は続く。ただ違うのは、戦う自分がひとりじゃないこと。

　最強の味方と共に。変わらぬ今日を歩み続ける。もっとバレーボールがうまくなりたい、と格闘しながら。そして終われば「今日さー」で始まる報告ができる人がいる。そんな今、そしてこれからがたまらなく幸せだ。

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