酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「小園海斗が悲鳴を」東出コーチが笑顔でノック、栗林良吏は“WBC仕様の調整”…カープ猛練習キャンプで“ファンの喜び”を感じたワケ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/02/06 17:01
新井貴浩監督体制でも伝統の猛練習は健在。カープのキャンプは活気にあふれているようだ
東出コーチが放った打球を野手が追いかける。先ほどまで内野でノックを受けていた小園海斗が、右へ左へ必死の動きを見せている。東出コーチは満面の笑みを浮かべてボールを散らしている。おそらく東出コーチも現役時代にこの練習を経験しているのだろう。
小園は悲鳴を上げながら駆け回り、他の内野手もアメリカンノックの洗礼を受ける。広島の練習はハードだな、と本当に思う。
未来の正捕手争いも地道に繰り広げられる
本塁付近では、石原貴規、磯村嘉孝、坂倉将吾の3捕手が揃っている。広島の正捕手は會澤翼だが、今年4月で35歳になり、そろそろ後釜が必要になってきており、この3人は後継者候補と目される。
プロ野球の春季キャップではポジション争いをするライバルをグループにして練習することが多く、3人の中から次の正捕手が生まれる可能性が高いと言えよう。中軸打者としても期待がかかる坂倉は一塁コンバートの可能性もあるだろうが、今季も捕手としてスタートするのだろう。
石原慶幸コーチが、ノックバットでショートバウンドの打球を打ち、これをキャッチしている。3人が延々と繰り返している。地味な練習だが、これもチーム強化の重要な要素なのだ。
打撃練習で起きたスタンドインでの拍手
一連の練習が終わると、バッティングケージが素早く設置され、打撃練習が始まる。まずは昨年から在籍するマクブルームと、新外国人のデビッドソンが交代でケージに入る。デビッドソンの飛球がフェンスを越えると、客席からは大きな拍手が起こった。
そうだった、広島キャンプでは打撃練習でスタンドインすると客席から拍手がおきるのだった。これも広島キャンプの風景である。そんな中でマクブルームとデビッドソンは気持ちよさそうにバットを振っていた。
続いて日本人打者がバッティングケージに入ったが、投手は打撃投手から、一線級の現役投手に切り替わった。現役投手が打撃投手を務めるのも広島キャンプではよく見られる。
一番手はクローザーとして活躍した時期もある中﨑翔太で、力強い球を投げこんでいた。
続いて、見慣れない体格の良い左投手がマウンドに上がった。昨年12月の現役ドラフトで巨人から移籍した戸根千明だ。厳しい顔をして速い球を投げ込んでいる。さらに矢崎拓也と続き、実戦形式でのマウンドに期するものがあったはずだ。このあとは森浦大輔とロベルト・コルニエルが上がった。