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「ネットとオレ、どっちを信用するんだ」西武の“即戦力ルーキー”青山美夏人(22歳)に高校恩師ズバリ…野球人生を変えたアドバイスの中身
posted2023/02/06 06:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
KYODO
ネットとオレ、どっちを信じるんだ――高校の恩師が言った4年前の言葉をライオンズのルーキー、青山美夏人は今も覚えている。
2018年夏、神奈川で優勝候補に挙げられていた横浜隼人は、初戦で横浜商に逆転負けを喫し、甲子園への夢を絶たれてしまった。エースだった青山は先発せず、逆転された直後にリリーフで登板。タイムリーを打たれて手痛い追加点を許し、忸怩たる思いを味わわされた。
「プロ野球選手になるのはあの時点では夢のまた夢の、遠い存在でした。甲子園もテレビで観ていましたが、大阪桐蔭の根尾(昂)とか金足農の吉田輝星とか、そういう同級生に負けたくない気持ちが湧いてきて、大学で段階を踏んでから勝負するんだという気持ちが強くなりました」
横浜隼人の水谷哲也監督は、いずれはプロに行きたいという青山に亜細亜大を薦めた。しかし青山は躊躇する。水谷監督はこう振り返った。
「青山に亜細亜はどうかと指導したら『ひとりっ子で甘えん坊ですから亜大の厳しさにはついていけない』と言うんです。誰からそんなことを聞いたのかと思ったら、青山は『ネットが』と……おいおい、ネットとオレ、どっちを信用するんだ、と言ったことを思い出します(笑)」
「ひとりっ子だからとは言ってませんけど…(笑)」
水谷監督のその言葉を伝えると青山は「ひとりっ子だからとは言ってませんけど」と笑って、こう続けた。
「プロに一番近いのは亜細亜だぞ、と言われました。行ってもいないのに決めつけるなと……実際、ネットの情報は本当じゃなかったし、自分は亜大でいい4年間を過ごさせてもらった。そのおかげでここまで成長できたと思っています」
プロへ誘ってくれた大学での成長は何だったのかと訊くと、青山は「投げるスタミナ」だと即答した。
「体力だけでなく、メンタルのスタミナも身につけられたと思っています。気持ちの強さは自分の武器です。普段はマイペースですが、マウンドに上がったらガッと集中できる。まず右足でファウルラインを跨いで、マウンドに左足で入ると、その瞬間、なぜかスイッチが入るんです」
先発するなら長いイニングを、リリーフなら連投も辞さずの“投げるスタミナ”を誇る、即戦力のルーキー。美しい夏の人――“みなと”がこの夏、狭山丘陵を盛り上げる。