将棋PRESSBACK NUMBER
〈マンガ〉「車掌・藤井聡太王将、たこ焼き屋の羽生善治九段もイイけど…」観る将が推す名場面「連続王手回避+1分将棋で大逆転が!」
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byJunsei Chida/日本将棋連盟
posted2023/02/01 17:00
観る将マンガ家が描いた「2023年1月の将棋ハイライト」。過去のイラストは関連記事からご覧になれます!
3)藤井五冠の「1分将棋で大逆転」にシビれた
2023年に入り、藤井五冠は王将戦/朝日杯将棋オープン/NHK杯とさまざまな公式戦に臨んでいます。2日制の王将戦、早指し戦の朝日杯とNHK杯とそれぞれで存在感を放っています。特に藤井将棋の凄みを見たのが、15日に開催された朝日杯本戦、増田康宏六段戦でしょうか。
増田六段の素晴らしい指し回しもあって、藤井五冠は1時間にも及ぶ「1分将棋」(1手を1分以内に指さなければならない状態)となりながらも、大逆転勝ちを果たしました。近年は〈序・中盤の研究が素晴らしい質となっている〉との評判を目にしますが、詰将棋で培い、10代の頃から圧倒的だったとされる終盤力をこう目の当たりにできるとは。この解説を務めた永瀬王座が「59秒まで考えたら詰まない」という言葉も印象的でしたね……。
さらに朝日杯本戦から3日後、順位戦A級で豊島将之九段に勝利しています。こんな過密日程の中で、どうやって研究したり心身を切り替えているんだろう? 対局以外の日々の過ごし方についても、観る将としては興味の範囲が広がります。
初の優勝を目指すNHK杯では天彦九段(ここ2、3カ月、常に対局している印象がありますね)に勝利し、準々決勝ではオシャレでダンディーな姿で知られる中川大輔八段との対局となります。中川八段は今週の『将棋フォーカス』で山登りして意気込みを語っていただけに、ベテランの味も楽しみです。
そして冒頭で取り上げた羽生先生との王将戦です。
王将戦と言えば、今やコスプレなどで世間的にも有名になった「勝利の記念撮影」。第1局後には藤井王将が鳥たちと戯れ、第2局は羽生先生がたこ焼き屋になり、第3局は藤井王将がカニと楽しそうに……対局日の翌朝は「朝刊買ってこなきゃ」と妻氏がダッシュするのが定跡となっています(笑)。あと、個人的には対局後の感想戦にも注目しています。藤井王将も羽生九段も、とても楽しそうな表情を浮かべているのがグッときます。
王将戦は今月も第4局の立川(2月9、10日)、第5局の島根(25、26日)と2局が予定されていて、注目度マックスですね。さらには現在行われている永瀬拓矢王座との順位戦A級は、最年少名人挑戦に向けてまた一歩近づくか、それとも永瀬王座がストップをかけるのか非常に大事な一局。
そして名人位を持つ渡辺明棋王が待ち受ける棋王戦第1局と前述したNHK杯(ともに5日)、朝日杯(23日)は15歳にしての初優勝を皮切りに、通算4度目の制覇を目指す戦い――ほぼ毎週にわたって大勝負が続く中、寒さを吹っ飛ばす熱戦に期待します!(構成/茂野聡士)
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。