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「ドラフト会議の後は、毎年5kg太りますね…」プロ野球スカウトが明かす“オフシーズンのウラ話”「ごちそう恐怖症になるんです」 

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安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/01/27 17:01

「ドラフト会議の後は、毎年5kg太りますね…」プロ野球スカウトが明かす“オフシーズンのウラ話”「ごちそう恐怖症になるんです」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ソフトバンクの新入団選手たち(12月5日撮影)。笑顔で記念撮影するドラフト1位、イヒネ・イツア(手前中央)ら ※本文とは直接関係ありません

 即答で言いきったのが、「科学」という側面から論を進めていたスポーツ科学の専門家だったから驚いた。

「徹底的に科学された理論と方法論を、ひたすら繰り返す反復によって自らの技術として体現できるようにしていく……それこそが“練習”というものです」

 先生が、あらためて言いきった。スッと胸に落ちた。

 良い勉強になったと思った。この「ひと言」だけでも、参加した甲斐があった。

 もちろん、いちばん前の席でレクチャーに耳を傾けていた小宮山悟監督が、参加した部員たちを見回しながら、我が意を得たり……とばかりに何度も大きくうなずいていたことは、言うまでもない。

【3】「小学生の逸材、発見!」

 以前の「現場納め」は11月下旬に行われる「くまのベースボールフェスタ」という催しだった。だが、一昨年からは、そのシーズン最後の野球の現場が、およそ1カ月遅くなった。

 クリスマスも終わった年末の冬休み期間に、「12球団ジュニアトーナメント」を観戦するようになったからだ。

 プロ野球12球団がそれぞれに、小学生の軟式野球チームを持って、OBたちが指導にあたる。それぞれのフランチャイズ(本拠地)の地方全体(例えば、楽天ジュニアなら東北地方)から腕に自慢の少年少女たちが、オーディションを経て選ばれる。これが小学生のプレーか!とたまげるようなシーンが何度も繰り返される。

 一昨年は、ドラゴンズジュニア(中日)の小久保颯弥選手が、神宮球場のレフトスタンド中段に大アーチを懸けて、中学、高校飛び越えて、大学生でも珍しいような打球の飛びっぷりに腰を抜かしたものだ。

 昨年は、一昨年より飛び方を抑えたバットを使用したそうだが、それでも、あわや外野フェンス直撃が何本もあったし、真っ芯で捉えたライナーのスピードなど、ベンチ上からの視点で見ていると一瞬見失うほどの弾丸ビームで、これが小学6年生、11歳、12歳の打球なのか……と、タメ息しか出ない場面もあった。しかし、いちばん驚いたのは、実は、試合前の光景だった。

 外野の芝生で、ジャイアンツジュニア(巨人)の選手たちのキャッチボールが始まっている。

 塁間ほどだったキャッチボール。だんだんと距離を広げていく。ロングになるにつれてボディバランスを崩して、投げるボールの勢いを失う選手たちが多い中で、50mほどの距離になっても、ぐんぐん伸びていくボールの軌道が変わらない選手がいる。

 見ていて、スカッと胸が空くようなキャッチボール!

小6女子のスゴいキャッチボール

 誰だろう……と名簿を広げて驚いた。背番号6が見えるから、「関根百花」選手か。下に「せきね・ももか」とルビがふってある。女子選手じゃないか。素晴らしいキャッチボールだ。

【次ページ】 小6女子のスゴいキャッチボール

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