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「田澤(廉)も泣いていて…」駒澤大“最後の箱根を走れなかった主将”神戸駿介が語る、“強い後輩“への思い「山野(力)だけお礼のLINEがないんです」
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byWataru Sato
posted2023/01/22 11:02
今年、箱根駅伝で優勝した駒澤大。田澤廉ら4年生から2年先輩にあたる神戸駿介は主将を務めた2021年大会で優勝。当時の話を聞いた
「よくやったとは言ってもらえましたね。ありがとうというのは、退寮するタイミングだったかな。あとはほんと、実業団で頑張れと。みんな監督のことは慕ってますね。感謝しかないです」
監督の「ありがとう」には、実感が込められていたはずだ。昨年末、大八木に話を聞いた際、こんな話をしていたのを思い出す。
「神戸たちがよく後輩たちを助けてましたね。上級生が下級生のことを気遣うようになって、少しずつ流れが変わって、それで優勝ということにもなっていきましたから。あの代は本当によくやってくれたと思います」
お前はフォームが汚いから、小森で泥臭く頑張れ
田澤や山野は今でも神戸や青山を慕い、時々連絡をしてくる。悩んでいれば話を聞き、社会人らしくご飯をご馳走する。
「山野だけ主将なのにお礼のLINEが返ってこないんです」
こんなことが言えるのも、きっと仲が良い証拠だろう。記録には残っていないし、世間の印象も薄いかもしれないが、常勝駒澤の礎を築いたのが、神戸たちの代だった。
最後に一つ、聞いておきたいことがある。高校生の時、監督から「汚い」と言われたフォームは、大学で改善されたのだろうか。
「進路相談をしたときに、監督にこう言われました。『お前はフォームが汚いから、小森(コーポレーション)で泥臭く頑張れ』って。それが答えですね。4年間頑張りましたけど、きれいになってなかったです(笑)」
社会人になってから、10000mとハーフマラソンで自己ベストを更新した。去年のニューイヤー駅伝では、初めての出場で6区区間5位となり、オリンピアンの塩尻和也(富士通)や箱根駅伝でMVPを獲得した林奎介(GMO)ら名の通った選手に気圧されることなく先着した。
今は会社のことが大好きで、特に駅伝で貢献したいと神戸は言う。
神戸の陸上人生はこれからも続いていく。きっと選手としてのキャリアハイは、この先に待っているのだろう。
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