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「大谷翔平の“縦出し”お手本はトラウト」「吉田正尚ならMLBでも…」ラオウ杉本の覚醒を導いた3A経験者が語る“日米スイングの違い” 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2023/01/14 17:01

「大谷翔平の“縦出し”お手本はトラウト」「吉田正尚ならMLBでも…」ラオウ杉本の覚醒を導いた3A経験者が語る“日米スイングの違い”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

メジャーに挑む吉田正尚と、メジャーで活躍する大谷翔平。彼らについて根鈴氏に語ってもらった

 MLBでは、反対方向にホームランを打つことができる打者は評価されます。大谷翔平選手がMLBの強打者から認められたのも、移籍した2018年に左中間に大きなホームランを何本も打ったからです。

トラウトのバッティングを見てください

〈大谷翔平のチームメイトには「縦出しバッティング」のお手本がいると言う〉

 エンゼルスのマイク・トラウト選手のバッティングを見てください。バットを高く掲げて縦出しでスイングしています。だからホームランも出るし、広角に安打も打てる。MLBでは強打者はみんなバットを縦に出しています。

 大谷選手は日本育ちですから、MLBに移籍した時点ではバットを横から出していたはずですが、トラウト選手と中軸を組むうちに、彼のスイングと打球を見て、意識を変えたのだと思います。昨年もバットを縦出しして、いい当たりのホームランをたくさん打っています。

 NPBで実績を残したバッターはなかなか自分の打撃を変えることができない。そこが問題なのでしょう。

〈筆者は根鈴氏の道場ができた年から訪問しているが、その当時からオフにはオリックスの杉本裕太郎が通っていた。根鈴氏は親しみを込めて「ラオウさん」と呼ぶ〉

 一昨年、ラオウさんがホームラン王を取ったときは、縦出しのバットの振り方が身についた上に、ボールをしっかり見ることができるようになった。

 でも昨年は、迷いが出ていた。ボールが見えなくなっていたんですね。キャッチャーのミットにボールが入ってから振っているような感じでした。そのうちに自信もなくしていった。スイングもおかしくなっていった印象ですね。

 ラオウさんは、春季キャンプでは、ティーバッティングで大きい当たりを連発していたようですが、止まっているボールじゃなくて動いているボールに縦出しでバットを振る練習をたくさんすべきじゃないかと思います。

吉田選手は、すでに縦出しの技術を持っている

〈では、昨年まで「ラオウさん」のチームメイトだった吉田正尚は、MLBで通用するのだろうか?〉

 昨年の吉田選手は凄かったですね。彼は、NPB流の横出しのバッティングで高い技術を見せましたが、同時に縦出しでも打てるんです。追い込まれて縦出しで内角高めの速球をライナーで打ち返すような打撃を何度も見ました。

 吉田選手は、すでに縦出しの技術を持っているから、MLBの投手にも対応できると思います。そして何より選球眼が凄いから、長打はともかく打率はとれるんじゃないでしょうか。

 問題は守備と走塁でしょうが、イチロー選手が移籍してすぐにゴールドグラブを取ったように、MLBの外野守備はそんなにすごくない。ましてレッドソックスの本拠地フェンウェイパークの左翼は狭くて有名ですから。

 それにMLBでは盗塁をそこまで評価しないから、吉田選手は大丈夫ではないですか?

【次ページ】 では村上宗隆はどうなのだろうか?

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