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「原君、部がダメになるぞ」ムキになった原晋監督が今も後悔する“最悪のスカウト”…青学大の信念『心根のいいヤツをとる』はいかに生まれたか?

posted2023/01/02 06:03

 
「原君、部がダメになるぞ」ムキになった原晋監督が今も後悔する“最悪のスカウト”…青学大の信念『心根のいいヤツをとる』はいかに生まれたか?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

昨年の箱根駅伝、選手と肩を組んで最終ランナーのゴールを待つ原晋監督

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原晋

原晋Susumu Hara

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Nanae Suzuki

ついに箱根駅伝が開幕する。ここ8大会で6度の優勝を誇り、圧倒的な選手層をもつ青山学院大学は連覇がかかる。「ぐんとハイレベルな戦いとなる。勝つにはブレーキがないこと。今の実力を100%出せば勝てる」と語った原晋監督。どのようなレース展開になるのか、楽しみだ。

昨年の箱根駅伝で青学は大会新記録で優勝し、2位に10分51秒の差をつけた。なぜ青学は常に勝ち続けることのできる強いチームに成長したのか――。その秘密を解き明かす、原晋監督著『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム刊)から、「心根の悪い人間が、チームをダメにする」の章を抜粋して紹介する《全3回の3回目/#1#2からつづく》。

人間性を度外視したチーム編成では勝てない

 前にも触れましたが、育成だけでなく、スカウトの段階から人間性を重視すべきだと思い知らされたのは、監督就任3年目のことでした。1年目、2年目と思うような成績を残せなかった私は、契約最終年の3年目、人間性を度外視してタイムが良いだけの選手をスカウトすることに決めました。

 そのとき、獲得するつもりだった選手の指導者からこう警告されたのです。

「原君、あんな選手をとってはいけない。部がダメになるぞ」

 そこまで言われてかえって意地になってしまった私は、その選手の能力をしっかりと開花させ箱根駅伝に出てやろうと決めました。しかし、その決断は最悪の結果を生んでしまったのです。

【次ページ】 問題部員の乱れた生活で…就任3年目の悲劇

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原晋
青山学院大学

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