誰一人かけることなく箱根を迎えた、4年生の絆

　今回の箱根駅伝、青山学院大は4年生が9人もエントリーされ、そのうち7人が出走した。

「彼らの世代は、高校時代にスーパースターだったわけじゃないんですよね。自ら、我々の門を叩いて来てくれた選手たちなので、青学が好きな子たちなんです。“青学でやりたい”という気持ちが強いから、4年間頑張れたんじゃないですかね」（青学大・原監督）

　実際、この学年の選手たちは誰一人欠けることなく、最終学年を迎えた。4年間強豪チームで競技者生活を送ることは決して簡単なことではない。これは誇るべきことだろう。

　結果的に層の厚い世代のようにも思えるが、実際にはこの学年で1年目に箱根駅伝を走ったのは岸本だけだった。そういった意味でも、4年間かけて、じっくり力を蓄えた選手が多かった。

　今回2区を担った近藤幸太郎がまさにそういう選手だ。

「近藤は、大きな故障がなく、努力で4年間積み上げたものが結果として力に変わった」

　原監督も近藤の努力を認めていた。

「ようやく4年目で田澤（廉・駒澤大）君にも勝つことができた。だから、区間賞を取らせてあげたかったけどね……」

　4年間かけて学生長距離界を代表する選手に成長した近藤に対する、最大の賛辞だ。

2区で中央大・吉居、駒澤大・田澤らとデッドヒートを繰り広げた近藤幸太郎　©Yuki Suenaga

“幻の区間プラン”は1区に近藤（4年）、2区に岸本（4年）

　この学年の火付け役になったのは、やはり岸本だった。

　1年目の箱根駅伝でいきなりエース区間の2区を任されると、区間5位と好走し、6人抜きの活躍で総合優勝の立役者の1人となった。2区の日本人1年生最高記録も岸本が持っている。

「1年生の時に岸本が箱根を走ったことで、“俺たちも頑張ろう”ってなったんだと思います。この学年にとって岸本の存在は大きかった」

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