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鈴木軍はプロレス界に何を残したのか? “やりたいこと”を貫いた鈴木みのると家族たちの11年「俺たちは、間違いなく、1番だった」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/12/29 11:04
12月19日、最後のタカタイチ興行で「イチバ~ン」の音頭をとるタイチ。葛西純と流血戦を演じた鈴木軍の“ボス”鈴木みのるも感慨深げな表情を浮かべた
「鈴木軍はチームではなく家族」が意味するもの
12月23日、鈴木軍としての最終戦を終えたタイチはこう言っている。
「俺たちは他のユニットに比べて、これといったものを残せなかったかもしれない。けど、他のどのユニットにも絶対真似ができないことをやってきた。だから俺たちは、間違いなく、1番だった」
鈴木軍は解散したが、これは、「自分たち」ではなく個々人が1番になるためのスタートでもある。もっとも、各自のやり方は変わらないだろう。DDTの“カリスマ”佐々木大輔とようやく対峙できたデスペラードや、1日だけ1番になったタイチだけではない。メンバー全員が、他には真似できない、自分がやりたいことをやり、欲しいものを奪うそのやり方で、自分の理想の1番を目指す。
タイチとデンジャラス・テッカーズを組んでいたザック・セイバーJr.は、タイチにIWGP世界ヘビー級王座を目指すよう促すコメントを残した。自身も、『NEW JAPAN CUP』を2度制しながら未だに手が届いていないその王座を目指していく。
タカタイチ興行で葛西と危険すぎる遭遇を果たした鈴木は、“予約済みのお宝”IWGPヘビー級王座を目指す航海において「新しい扉、どんどん開けていくぞ」とニヤリ。年明けには、元ドラゴンゲートの土井成樹をパートナーに全日本プロレスに参戦することも発表されている。
ザックは「鈴木軍はチームではなく家族」だと言う。家族は、遠くにいても、いつになっても家族だ。鈴木軍が無くなっても、そこで生まれたものは永遠に無くならない。自分のやりたいことを実現させる強さにおいて右に出る者はいない“プロレス王”の家族たちは、これからも事あるごとに「彼らがイチバンだ」と思わせてくれるに違いない。
そして我々は、やっぱりプロレスがイチバンだ、と感じることになるのだろう。
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