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鈴木軍はプロレス界に何を残したのか? “やりたいこと”を貫いた鈴木みのると家族たちの11年「俺たちは、間違いなく、1番だった」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/12/29 11:04
12月19日、最後のタカタイチ興行で「イチバ~ン」の音頭をとるタイチ。葛西純と流血戦を演じた鈴木軍の“ボス”鈴木みのるも感慨深げな表情を浮かべた
TAKAみちのくとタイチが「最後」に見せた意地
最後のタカタイチ興行でも、それは変わらなかった。
鈴木軍のオリジナルメンバーであるTAKAみちのくとタイチは、それぞれセミとメインでシングルマッチを行った。
TAKAの対戦相手は高橋ヒロム。現在の新日ジュニアを象徴するレスラーのひとりだ。3本勝負という形式に加え、互いに相手の特定の技(名もなきヒロムロール、みちのくドライバーⅡ)で3カウントを許さなければ100万円を獲得(相手から)という特殊ルールで争われた。
1本目をあっさりとヒロムロールで奪われたTAKAは、2本目にみちのくドライバーⅡを繰り出したもののカウント2。3カウントを奪えなかっただけでなく、100万円を奪われてしまった。しかしその後、今年散々やられ続けてきたヒロムロールをカウント2でキックアウト。100万円を奪い返してみせた。すると、お金を失ったことに激昂したヒロムは一気にTIME BOMB Ⅱを発射。2本連取で試合を終わらせたものの、TAKAが意地を見せた形となった。
メインはタイチと鷹木による「KOPW 2022」争奪戦だ。試合形式は、鷹木式ラストマンスタンディング・ランバージャックデスマッチとなった。3カウントの後にダウンカウント(10カウント)がスタートする、という消耗戦になること必至の形式であり、しかも場外エスケープが許されない。
グラウンドコブラツイストやタイチ式外道クラッチで3カウントは入るものの、丸め込みではそこからの10カウントを奪うことができない。完膚なきまでに叩き潰さなければ勝利を得ることが不可能なルールにより、試合は自然と激しい打撃戦となっていった。
両者はゴツゴツしたぶつかり合いによってみるみる消耗していったが、一進一退の攻防は延々と続いた。互いに手首を離さないショートレンジでのアックスボンバーと龍魂ラリアットの打ち合いでは、とうとう衝撃によってタイチの鼻からそれまでの激闘で溜まっていた血が噴き出した。しかし、それほどの状態になってもまだ決着はつかない。タイチのラストライドでもブラックメフィストでもバックドロップでも、鷹木は10カウントを数えさせず。最後はタイチがむき出しになったコーナーに自爆したところで鷹木が畳み掛け、パンピングボンバーからラスト・オブ・ザ・ドラゴンへと繋げることに成功。一度はカウント9で起き上がりかけたタイチだったが、力尽きて崩れ落ち、ゴングを聞くことになった。