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有馬記念を完勝、イクイノックスは“実際どこが強かったのか”、徹底検証! ルメールも調教師も絶賛「世界のホースマンに見てもらう価値のある馬」
posted2022/12/26 17:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
やはり、この馬は、計り知れないスケールの「天才」だった。
一年の総決算となるグランプリ、第67回有馬記念(12月25日、中山芝2500m、3歳以上GI) で、クリストフ・ルメールが騎乗した1番人気のイクイノックス(牡3歳、父キタサンブラック、美浦・木村哲也厩舎)が2馬身半差で圧勝。天皇賞・秋につづく連勝で、レース史上最少キャリアの6戦目でグランプリホースとなり、年度代表馬の座をほぼ確実にした。
先頭で駆け抜けたイクイノックス
3、4コーナー中間、ラスト600mを切ったところで、イクイノックスは、昨年の覇者エフフォーリアに外から並びかけた。ルメールは手綱を抑えたままだ。
内のエフフォーリアと少し馬体を離して並走し、前との差を詰めて直線へ。ラスト200m手前でルメールが手綱を持ち直してゴーサインを出すと一気に加速。内の馬たちをまとめてかわして先頭に躍り出た。ルメールの右鞭に応えてさらに末脚を伸ばし、外から伸びたボルドグフーシュの追い上げを封じ、先頭でゴールを駆け抜けた。
勝ちタイムは2分32秒4。2017年に勝った父キタサンブラックとの父仔制覇を達成した。
スタンド前で行われた勝利騎手インタビューで、ルメールは満面の笑みを見せた。
「みなさん、メリークリスマス! ぼくにとってクリスマスは、2度あることは3度あります」
これがルメールにとって3度目の有馬記念制覇となった。ハーツクライで有馬記念初勝利を挙げた2005年も、サトノダイヤモンドで2勝目をマークした2016年も、今年と同じ12月25日に行われた「クリスマスグランプリ」だった。
掛かり気味でも、凄まじかった“瞬発力”
「今回はすごくいいスタートを切ったので、(位置取りは)結構前のほうになって、道中、引っ掛かりましたね。我慢させないといけなかったけど、大外に出してからすごくいい脚を使ってくれました。最後は本当に、一番強い馬でした」