「草太君も、佳生君も、（佐藤）駿君も、練習からみんなすごいクオリティーで、フリーで誰がトップに来るか分からない、素晴らしい練習をしています。ただ僕は、フリーを本当にたくさん練習してきました。GPファイナルという大きな舞台で成績も出したいと思いますが、この大会は練習してきた成果を知るための試合にしたいと思います」（宇野）

「昌磨君を含めて、佳生君、駿君、日本の選手たちと一緒にこの舞台に立てることは心強いですし、みんなの練習を見て僕も頑張ろうと思えます。僕は今季のオフから、すごく練習に臨む姿勢が変わってきました。本番も、緊張したとしても、どこかで自信を持って臨めています」（山本）

「本当にすごい先輩たちで…今も実感が湧きません」

　一方、三浦はこう話した。

「僕が最初に宇野選手と山本選手の演技を見たのは、まだ10歳になる前くらい。2人が2014年ジュニアGPファイナルで滑る姿を見ていました。本当にすごい先輩たちで、自分が隣にいることが、今も実感が湧きません」

ショートプログラムを終え2位の山本草太（左）、1位の宇野昌磨（中央）、3位の三浦佳生（右）の3ショット ©︎Asami Enomoto

　迎えた2日後のフリー。1番滑走は、ショートでミスがあった佐藤。しかし佐藤にとってこのトリノ・パラベラ競技場は、3年前のジュニアGPファイナルで優勝した思い出の地だ。落ち着いた様子で、冒頭の4回転ルッツを決めると、3本の4回転を含むパーフェクトの演技を見せた。

「シーズン始めは（手術明けで）ファイナルまで出られるなんて思っていませんでした。ジュニアGPファイナルと同じ舞台に戻ってこられたことが嬉しかったです。フリーは、練習からノーミスの演技ができていたので、練習通り、丁寧にできました」

　第一滑走者がノーミスすると、スタジアムには不思議な空気が生まれる。この日も、イタリアの観客は、大歓声で佐藤の演技をたたえ、鳴り物をけたたましく鳴らした。

　さらに2番滑走のマリニンは、冒頭で4回転アクセルを決める。世界最高の大技を生で見た観客達は、その着氷の瞬間思わず「ウォーッ」と雄叫びをあげた。日本人の観客であれば演技中は拍手に留めることが多いが、イタリア人の反応はちょっと違った。盛り上がる空気感のなか、マリニンは5本の4回転を決めてパーフェクト。暫定首位へと巻き返した。

18歳のイリア・マリニンはフリースケーティングで4回転アクセルを決めるなど見事な演技で3位に食い込んだ　©︎AFLO

　そして3番滑走は、地元の星、ダニエル・グラッスル。2019年ジュニアGPファイナルにも出場し、北京五輪も経験。2026年の母国開催の五輪に向けて、イタリアの「推し」のスケーターである。

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