「例年になく良い演技をみなさんがしていて、草太くんは、本人がすごく喜んでいることが嬉しかったです。佳生だけ失敗がありましたが、僕の8個下でまだまだ若いし、これから先長いので。むしろ僕も若い世代に負けないよう頑張っていきたいです」

　一夜明けてインタビューに現れた三浦は、落ち込んでいるというよりは、反省をし、再起を誓っていた。

「この経験は大きいですね。今後も、地元の海外選手で盛り上がって、その次ということはあるはず。歓声も叫べるようになってきたので。長い競技生活のなかでプラスになります」

GPファイナルを一言で総括すると？と聞かれて…

　改めて試合を振り返る。

「GPシリーズの2戦は、マリニン選手や宇野選手の後に滑って、まとめた演技ができたんですけど。今回は世界一を争う中で、みんなが良い演技が続いていくという空気感の中で、崩れてしまって。この中で、力を出し切れた5人はすごいなと思いました。空気にのまれたのは、自分の実力不足です。だからこそ『今に覚えとけよ、日本見とけよ』って気持ちです。この悔しさを胸に、全日本選手権は優勝する気でやりますし、来年のGPファイナルにも帰ってきて頂点とってやる、って思います」

うつむきながらリンクを後にする三浦佳生と佐藤紀子コーチ　©︎Asami Enomoto

　そして、このトリノGPファイナルを一言で総括すると？と聞かれて、答える。

「不運です」

　これだけ反省の弁を語っておきながら、「運」で締めるあたりが三浦らしい。

「バーガーキングから始まってましたね、あそこからの不運です」

　三浦流に言えば、運を次の大会にとっておいたということ。トリノでの「不運」は、本当に大切な大会で「幸運」となって彼に訪れることだろう。

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