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「ユキノビジン大ファンの母に厩務員の父が一目惚れして…」優希乃さんが語る“ユキノ”一家ヒストリー「妹の名前は“美人”にしようと…」
posted2022/12/17 17:02
text by
軍土門隼夫Hayao Gundomon
photograph by
Keiji Ishikawa(L)/Wataru Sato(R)
桜花賞、オークスで“ベガの2着”だったユキノビジン
優希乃さんの両親が出会ったのは今から29年前。きっかけは1頭の牝馬だった。
東京都に住んでいた美枝(よしえ)さんが馬を好きになり、競馬を見るようになったのは、姉の影響だった。その姉からある日、こんな綺麗な馬がいるんだよと1頭の馬のことを教えられる。それがユキノビジンだった。
オグリキャップがまだ現役で走っている競馬ブーム真っただ中の1990年、ユキノビジンは北海道新冠町の村田牧場で生まれた。最初は地方の岩手競馬でデビューし、4戦3勝の戦績で中央へと移籍。転厩初戦となった3歳2月のクロッカスステークスを3馬身差で勝利すると、一躍、牝馬クラシック戦線で注目される存在となった。
この1993年の牝馬クラシックは、武豊とのコンビで新馬戦、チューリップ賞と圧勝してきた良血馬ベガが絶対的な主役となっていた。迎えた桜花賞、直線で抜け出した圧倒的1番人気のベガに、5番人気のユキノビジンが迫っていく。ベテラン安田富男の必死のアクションに応えるようにベガをジリジリと追い詰め、クビ差まで迫ったところがゴールだった。
続く二冠目のオークスは、直線入口から2頭の一騎打ちとなった。いったんは前に出て先頭に立ったユキノビジンだったが、ベガにかわされ、突き放される。それでも最後まで諦めることなく懸命に食い下がり続け、1馬身3/4差の2着に入った。
栗毛の馬体にたてがみは白いリボンの三つ編み
強さはもちろんだが、ユキノビジンがファンのハートを掴んだのは、その可憐な容姿も大きかった。毛色は父サクラユタカオー譲りの綺麗な栗毛。豊かなスピードで先行する走りもまた、いかにもサクラユタカオーの産駒らしかった。かわいい馬装も印象的で、雪のように真っ白な覆面を被り、三つ編みにしたたてがみには、やはり白いリボンが編み込まれていた。