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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
青木真也が語る「僕にしかできない終活」 39歳のベテランは、いかに格闘技を続けるのか?「主義主張を表に出すのは、命がけなんです」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/12/21 11:04
来年40歳となる青木真也に、自身の“引退”についての考えなどを聞いた
青木真也にしかできない「終活」
強くなるためには一切の妥協をしない。今までずっとそうしてきたし、それはこれからも変わらない。ただ格闘技人生における“試合”の比重は少し減るだろう。このあたりは表現が難しい。“リスクなく現役生活を引き延ばしたい”ということなのかと誤解を招く可能性もある。
「他のことができない、やりたくないから現役を続けてるような人もいますよ。そうなっちゃうのは僕も怖くて。それは商売として“作り手”と“客”の関係が成り立ってないから。そういうことではないんです」
これまでのように、ひたすら突っ走るというわけにはいかない。「誰でも、いつでもやってやる」ではないスタンスで、しかし格闘技の探究は続ける。
「すべて変化していくものだなと。練習内容だって変化してますし。だから終活ですよね。僕にしかできない終活。青木真也にしかできないキャリアのしまい方を見せたい」
年末には女子プロレスラーとも対戦「本気ですよ」
そんな青木の“復帰戦”が決まった。12月29日のDDTと30日のGLEAT、どちらも会場はTDCホール。29日に対戦するのはセンダイガールズプロレスリングの橋本千紘だ。レスリングの実績もある、現在の女子プロレス界における“強さの象徴”である。
「この2連戦があるから、12月も頑張れるんですよ。必死で練習してます。橋本千紘はプロレス、格闘技合わせて一番練習してる選手だと思います。それはSNSの練習動画とか試合での動き、体つきを見れば分かる。橋本千紘と俺がやったら、今のプロレスの枠組み、格闘技の枠組みではできないことができるはず。プロレスだからとか格闘技だからとか、そういうのを全部ひっぺがしたい。そのために必死で仕上げます。変わった人だなぁ、俺(笑)。でも本気ですよ」
このタイミングでプロレス、それも女子選手と対戦すること自体が“闘い”であり、あらゆる意味で「負けたくない」と青木。
「MMAの試合でKOされて、その翌月に人前に立つってことから“闘い”ですよ。何やってんだ青木って思う人もいるでしょ。まして相手が女子なんて、と。だけど橋本千紘は今の俺に必要な相手です」