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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
青木真也が語る「僕にしかできない終活」 39歳のベテランは、いかに格闘技を続けるのか?「主義主張を表に出すのは、命がけなんです」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/12/21 11:04
来年40歳となる青木真也に、自身の“引退”についての考えなどを聞いた
「主義主張を表に出すのが命がけなんです」
格闘技は命がけだと言われるが、そうではないと青木は言う。自分の言いたいことを言い、やりたいことをやり通すことが命がけなのだと。プロレス界の言葉を使って、自分は「イデオロギー闘争」、「過激なプロレス」をしているのだとも言った。
「試合をするのが命がけなんじゃない。主義主張を表に出すのが命がけなんです」
社会学者の宮台真司氏が暴漢に刺され重傷を負った事件が、青木には他人事ではなかった。
「主義主張のある人だから刺されたんでしょう。表で主張する人間は何があってもおかしくないのかって。俺もそういうことしてるんだよなって、そこは考えますよね。
許せねえって気持ちは凄く強いです。暴力で主義主張をねじ伏せようとするヤツがいる。それに対して、俺たちは絶対にねじ伏せられちゃいけない。あんなことがまかり通るなんて『北斗の拳』の世界じゃないんだから」
青木真也が続ける“闘争”
格闘技に携わっているからこそ、暴力や理不尽には敏感になる。
「世の中で一番の理不尽は戦争ですよね。あらゆる意味で自由が奪われる。格闘技も、理不尽さではかなり上位のものじゃないかな。少なくとも単なるスポーツではない。相手を殴って、押さえつけて自由を奪うわけで。それはマットの上だから、ルールの中だから許されること。ルールの外では絶対やっちゃいけない。反面教師として学びが多いと思う」
青木真也は言いたいことを言い、やりたいことをやる。それを続けたら刺されることもあるのかと思うと「グッタリしますよ」。それでもやりたいことをやると決めている。SNSでの他者への批判など頷ける言葉ばかりではないのだが、それも含めて青木だと思うしかない。
「言いたいことを言うのはリスクがある。刺される人までいるんだから。でも自分でリスクを背負ってるんだから言いたいこと言わせてもらうよ、と。“ああいうことは言わないほうがいい”とか“もっとこうしたほうがいい”とか、そういう押し付けには抗っちゃいますね」
無理して好かれようとは思わない。最後まで自分の価値観で生きる。それが青木真也の表現であり闘争なのだ。
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