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“りくりゅう”がぽろぽろ流した涙…GPファイナル初優勝、三浦璃来&木原龍一の瞳から溢れた“パートナーへの思い”「ずっと不安でした」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2022/12/13 11:00

“りくりゅう”がぽろぽろ流した涙…GPファイナル初優勝、三浦璃来&木原龍一の瞳から溢れた“パートナーへの思い”「ずっと不安でした」<Number Web> photograph by AFLO

GPファイナルのキス・アンド・クライにて、1位が確定した瞬間、思わず涙があふれた三浦と木原

特別な緊張…しかし2人は「質の高い練習をしてきた」

 今シーズンは、三浦が夏のアイスショーで肩を脱臼し、その影響で2カ月間のトレーニング時間を失った。三浦は木原が黙々と一人で練習をしている姿を見て、「とても悲しい気持ちになった」と怪我をした自分を責めたという。

 それでも時間を失った分、「昨年に比べて本当に質の高い練習をしてきた」と三浦は説明する。GP初戦のスケートカナダにはギリギリ調整が間に合い、そしてNHK杯と2大会連勝を果たしてこのGPファイナルに進出した。

 スケートカナダでの不安そうな表情から、徐々に二人の持ち味である笑顔とオーラが戻ってきたところだった。だがやはり、初出場のGPファイナルのプレッシャーは別物だったのか。それほど普通ではない緊張だったということなのだろうか。

「サルコウをミスするっていうことは、そうだったんだろうと思います。試合の前から自分の中で心が整わないなというのがあった。集中していたんですけど、どこか不安な気持ちがあったのかなと思います」

大きなプレッシャーを乗り越えて

 木原は言葉を選びながら、そう説明した。だがこれを実際に経験してみたことの意義は大きい。彼はこれまで何度も繰り返し、「自分たちは歴代のペアチャンピオンのレベルにまだまだ達していない」と口にしてきた。実際今季、これまで世界のトップを占めてきたロシアと中国のトップペアの欠場がなければ、三浦&木原組にいきなりここまでプレッシャーがかかることはなかったのかもしれない。

 その意味では、彼らはすごいスピードで進化していく機会を与えられている。

「こういうプレッシャーがあるんだな、というのを学べた。一回学べば次に生かせると思う。こういうプレッシャーのかかり方、というのを分かったというのはあります」

 この大舞台の経験を経て、さらに一回り成長した三浦&木原組。次のオリンピックの表彰台を狙う彼らにとって、今回の経験はメダル以上に貴重なものだったのに違いない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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