フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
“りくりゅう”がぽろぽろ流した涙…GPファイナル初優勝、三浦璃来&木原龍一の瞳から溢れた“パートナーへの思い”「ずっと不安でした」
posted2022/12/13 11:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
トリノで開催された2022年GPファイナルで、三浦璃来と木原龍一は日本のペアとして初めてのタイトルを手にした。
フリーを滑り終えると木原龍一は輝くような笑顔を見せ、三浦璃来を引き寄せるようにして氷の上に座り込んだ。二人で何か短く言葉を交わし、それから立ち上がると、鳴りやまない拍手を送る観客にお辞儀をした。
心を打つ演技だったが、パーフェクトではなかった。木原が珍しく3サルコウの着氷でバランスを崩しかけ、スロウ3ルッツでは三浦が片手をつくなど、細かいミスは出た。SP2位だった現世界チャンピオン、アメリカのアレクサ・クニエリム&ブランドン・フレイジャーとの点差はわずか0.43ポイント。このフリーで最終結果はどうなるのか、読めなかった。
フリー136.50、総合214.58で1位という結果が出ると、二人はキス&クライでハグを交わし、ポロポロと涙を流した。
見ていて、もらい泣きしたファンも多かったのではないだろうか。団体戦で銅メダルをとった北京オリンピックでも、銀メダルを手にしたモンペリエ世界選手権でも、二人がこんな風に涙を流した姿を見たことはなかった。
2人が流した涙は、ただの“歓喜の涙”ではなかった
「今日二人で優勝することが出来てものすごく嬉しく思います。ただ二人とも細かいミスが出てしまったのでそこは反省ですし、二人が初めてプレッシャーと戦う試合だったので、3月の世界選手権に向けてすごく良い練習というか……経験になったと思います」
優勝会見で、木原はまずそう口にした。
やはりGPファイナルという大きな大会で、事実上世界トップになった感慨は特別なものだったのだろうか。ところが、二人が流した涙は歓喜の涙とは少し違うものだったのだという。