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「もちろん断然優位だ」井上尚弥に死角なし? 米リング誌の編集長も確信する“4団体統一”「バトラー戦以降もエキサイティングな未来がある」
posted2022/12/12 11:02
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
JIJI PRESS
日本人初の4団体統一王者は誕生するのか――。
12月13日、WBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)はWBO同級王者ポール・バトラー(英国)との統一戦を行う。井上にとってバンタム級での最後の一戦と目される試合は、断然優位との前評判の中でゴングが鳴ろうとしている。
無敵の快進撃を続ける井上に死角はあるのか。世界的に無名の存在であるバトラーに“モンスター”が苦戦するとすればどんな展開が考えられるのか。そして、この試合のあと、井上の行手にどんな景色が広がっているのか。リングマガジンのダグラス・フィッシャー編集長にじっくりと語ってもらった。
パワーに欠けるが粘り強いバトラー
私は依然として井上こそがパウンド・フォー・パウンドNo.1のボクサーだと考えています。一方で、バトラーの力も買っています。だから今回の統一戦は楽しみにしていて、少なくとも前半はいい試合が見れるんじゃないかと考えているんですよ。
一部のメディア、関係者がバトラーのチャンスを完全に切り捨てているのは知っていますが、フェアだとは思いません。バトラーはWBOタイトルを保持し、地元や英国内で軽めの相手と防衛戦をこなし、いいファイトマネーを稼ぐことも可能だったでしょう。それをせずに、彼は井上との統一戦に真っ直ぐに向かったんです。日本での戦いを承諾し、しかも少なくとも世界でトップ3に入る選手との対戦を選んだことは、バトラーがどんな男であるかを物語っていると思います。
バトラーはパワーには欠けますが、粘り強く、IBF世界フライ級王者サニー・エドワーズ(英国)を思い出させられます。基本的にはアウトボクシングのスペシャリストでありながら、非常にタフで、必要に応じてインファイトもできる選手。もちろん井上があっさりとKOしてしまうことは考えられますが、バトラーが開始直後を乗り切った場合、しばらくラウンドを重ねることになるのではないかとも考えています。