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「ブラジルは永久にW杯優勝できない」クロアチアに負けて激辛批判「なぜネイマールに…」“メッシで4強”アルゼンチンはニヤニヤ
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/12/11 17:12
クロアチア相手に敗戦を喫し、呆然とするネイマール。ブラジル国内では超痛烈なバッシングが始まっている
しかし、延長後半の終盤、クロアチアがブラジルの攻撃を凌ぐと鋭いカウンターを仕掛ける。MFルーカス・モドリッチが昨季までレアル・マドリーでチームメイトだったMFカゼミーロのマークを振り切って中盤を突破した後、ブラジルの守備が手薄になっていた左へ展開する。
FWミスラフ・オリシッチからのグラウンダーのクロスをFWブルーノ・ペトコビッチが左足でシュート。これがCBマルキーニョスの膝に当たって方向が変わった。ボールがゴールに飛び込んだのを見たマルキーニョスは、ピッチに突っ伏した。
「カゼミーロはファウルをしてでも止めるべき」
ジュニオールは、「ボールがモドリッチに渡ったとき、一番近くにいたカゼミーロはファウルをしてでも止めるべきだった。サイドがガラ空きになっており、そこを巧みに突かれた」と指摘した。
勝負はPK戦へもつれ込む。ブラジルは1人目のロドリゴがゴールのほぼ真ん中に蹴ってGKに止められる。クロアチアの4人が全員成功したのに対し、ブラジルは4人目マルキーニョスのキックが左ポストに当たって外れ、2-4で敗れ去った。
ネイマールは、ピッチにうずくまって泣き続けた。さらに試合後には「こんなことは想像だにしていなかった。悪い夢を見ているようだ」と嘆いた。
キャプテンのCBチアゴ・シウバは、延長後半に失点した場面について「彼らのカウンターはもちろん警戒していたんだけど、一瞬、集中力が途切れてしまった」と唇を噛んだ。
地元紙が翌日挙げた“2つの敗因”とは
試合翌日の日刊紙『オ・エスタード・デ・サンパウロ』は、「敗因は精神的な不安定さと創造性の欠如」の見出しを立てた。
5人の編集委員が「チッチは2018年の大会で失敗してセカンドチャンスをもらいながら、何の教訓も得ていなかった」、「前半はクロアチアがやや優勢。後半、セレソンが持ち直したのは相手の疲れによるところが大きい」、「後半途中でビニシウスを交代させたのは間違い。ロドリゴを入れるのであれば、パケタを外すべきだった」、「PKの最初にキッカーにネイマールを起用するべきだった」などと入れ代わり立ち代わり批判した。
日刊紙『フォーリャ・デ・サンパウロ』は、1面にサンパウロ市内で行なわれたパブリック・ビューイングでセレソンの敗戦を見届けて涙ぐむブラジル人女性の写真を掲載した。
「攻守両面でミスが多く、チッチ監督の采配ミスも目立った」と指摘した。さらに、「試合後、チッチはピッチで涙に暮れる選手たちを残して一人でロッカールームへ去った」と試合後の態度にも批判の手を広げた。
一方、ブラジルの敗退を大いに喜んだのが宿敵アルゼンチンだ。