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スズメバチに刺されて難病が判明…中日のドラフト6位・田中幹也が向き合う運命と、主力放出の最下位チームを変える「忍者」への期待 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byJIJI PRESS

posted2022/12/11 11:00

スズメバチに刺されて難病が判明…中日のドラフト6位・田中幹也が向き合う運命と、主力放出の最下位チームを変える「忍者」への期待<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ドラフト6位で中日に入団する田中。難病を克服しプロでの活躍を目指す

 

 身長166cm、体重65kg。童顔でもあり、中学生と見間違えるほどだがグラウンドに出れば「忍者」と呼ばれるスピードが武器だ。レベルの高い東都リーグで歴代2位の通算48盗塁。先輩の赤星憲広(元阪神)の45を超えた。早くから田中の存在を知っていた立浪和義監督は、自ら神宮球場に足を運び、実力を確かめた。ドラフト6位だが、荒木雅博がつけた「背番号2」を提示したのは高い評価の表れだろう。12月1日の新人選手入団発表では、立浪監督はこう言っている。

「ドラゴンズの雰囲気を変えてくれる選手。彼の元気はすばらしい」

阿部、京田放出の内野陣で新人抜擢も

 阿部寿樹、京田陽太と立て続けにトレードで内野手を放出したが、その裏にはチームを変えるという重大な決断がある。つまりは田中や2位の村松開人(明大)といった新人の思いきった起用である。

 来シーズンのドラゴンズには、もうひとり、難病と闘う選手がいる。68番に指定される「黄色靱帯骨化症」と診断されたのが、中継ぎ左腕の福敬登である。「脊髄(神経)の後ろにある黄色靱帯という靱帯が、骨になってだんだん大きくなってしまい神経を圧迫して、おもに足の麻痺を起こす病気」(難病情報センターのホームページ)で、足のしびれや歩きにくさ、膀胱の働きが悪くなるなどの症状が出る。

 福の場合は今シーズン終盤に左足の付け根付近に力が入らなくなり、出場選手登録を抹消。複数の病院で検査を重ね、病名が確定した。10月25日に手術を行い、症状はかなり改善。現在は練習を再開し、塁間程度のキャッチボールを行っている。

「手術する前とでは全然違いますが、元通りというわけでもないんです。結局、僕の感覚が体に慣れるしかない。馴染むしかない、ということなんです」

【次ページ】 安達、三嶋…難病と闘う選手が励みに

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