熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER

ブラジル名手が「勇敢で知的で驚きに満ちた日本代表」とホメた一方で「カマダが本来の力を…ミナミノ、クボも」切ない報道な理由 

text by

沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2022/12/08 06:00

ブラジル名手が「勇敢で知的で驚きに満ちた日本代表」とホメた一方で「カマダが本来の力を…ミナミノ、クボも」切ない報道な理由<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

ベスト8の景色へとたどり着けなかった日本代表。ブラジルではクロアチア戦後、メランコリックな報道が大半だった

 延長後半はクロアチアがボールを握って攻めるが、日本の守備陣が跳ね返すシーンが続く。

 日本の攻撃はGK権田の浅野をめがけてのロングキックが主体となるが、浅野もヨシュコ・グバルディオルやロブレンらDFに囲まれた状況では厳しかった。互いに決定機を作ることができないまま、PK戦へ突入した。

 日本は南野、三笘、吉田のキックがいずれもGKドミニク・リバコビッチに止められてしまう。クロアチアの4人目マリオ・パサリッチが決め、クロアチアのベスト8入りと日本の敗退が決まった。

最も優れた鎌田、そして南野と久保も…

 クレベルソンは「非常に拮抗した試合で、この試合でも日本の全員のハードワークをベースとする堅守は健在だった。ただし、日本の伝統的な弱点であるハイボールの処理の甘さを突かれて失点した」と敗因を分析。「大会を通じて、日本で最も優れた選手の1人である鎌田が本来のプレーができず、南野、久保建英らも力を出し切れなかった」とコメントした。

 その後、この日の試合を振り返る2時間の討論番組で、ある解説者が「クロアチアは非常に苦労した末、辛うじて日本に競り勝った」としながらも、「試合内容は決して褒められたものではなかった。とりわけ、延長では何も起こらなかった」と厳しい言葉を並べた。

 これに対して元ブラジル代表MFエラーノは「W杯のGSで、両国は厳しい試合の連続だった。どの試合でもギリギリのプレーを続け、疲労が蓄積していた」、「延長に入ると、失点したら取り戻すのが極めて困難だから、慎重にプレーせざるをえない」と選手たちを擁護。「試合全体では日本がわずかに優勢だったと思うが、PK戦ではクロアチアのGKが素晴らしかった」と論評した。

当然ながら現地紙は「ブラジル4-1韓国」の報道が…

 日本対クロアチア戦の後、ブラジルが韓国と対戦して4-1と圧勝した。このため、試合翌日の新聞報道ではブラジル対韓国戦が大きなスペースを占め、日本対クロアチア戦の報道は隅へ追いやられた。

 日刊紙『オ・エスタード・デ・サンパウロ』は日本のPK3本を止めたクロアチアのGKリバコビッチを取り囲むクロアチア選手の写真を掲載して「GKがPK戦で活躍してクロアチアが日本を退けて準々決勝へ」。試合に関しては、「技術的なミスが多く、エキサイティングなシーンが少なかった」という厳しい見方だった。

 日刊紙『フォーリャ・デ・サンパウロ』も、クロアチアのGKに焦点を当てた。また、東京で日本の敗退を嘆く日本人ファンの写真を掲載。試合に関しては、「日本が前半は優勢だったが、後半はクロアチアが盛り返した」などと伝えた。

 セレソンが前半だけで4点を奪って韓国を下した試合と比べると、ブラジルメディアにはこの試合の内容が物足りなく見えたようだ。そのせいもあって――ドイツ戦、スペイン戦のような大きな扱いではなく、日本の敗退を地味に、かつメランコリックに伝えた、という印象を受けた。

<ドイツ戦編などからつづく>

#1から読む
「アサノが有力紙1面」「トミヤスは世界を驚かせると…言った通りだろう!」なぜイタリアが“日本、ドイツに逆転勝利”で超ノリノリなのか

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

関連記事

BACK 1 2 3
鎌田大地
サッカーブラジル代表
前田大然
南野拓実
三笘薫
久保建英
サッカークロアチア代表
サッカー韓国代表
カタールW杯
ワールドカップ

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ