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「クロアチア戦の解説が本田さんに変わってる!」ABEMAが神対応!? 本音ズバズバの“ケイスケホンダ解説”が炎上どころか大絶賛のワケ〈語録で検証〉
posted2022/12/03 11:01
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph by
Getty Images
サッカーW杯カタール大会、インターネットテレビ局『ABEMA』で解説を務める本田圭佑が話題を呼んでいる。日本が決勝トーナメント進出を決めた12月2日(現地は1日)のスペイン戦では他の解説者なら四面楚歌に追い込まれそうな発言もあったが、なぜ本田は炎上せずに絶賛されているのか――。同試合の『本田語録』を取り上げながら、その理由を複合的に解き明かす。
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個人名を挙げて注意も…必ずフォロー
<名言1>
「スライディングいらんねんな、今の」(前半25~26分)
昨今のサッカー中継で、個人名を挙げて厳しい指摘をする解説者はほとんど見受けられない。その一因として、正当な理由から批判をしても、SNS上の有象無象が感情に任せて抗議してくる可能性があるからだろう。著名人も人の子だ。いくら相手の反論の根拠が薄くても、その数が大きくなれば萎縮してしまう。しかし、本田は他人に何を言われようが、正しいと思えば発する。
前半26分、プレスをかけて相手DFを追い詰めたFWの前田大然が滑り込むと「スライディングいらんねんな、今の」と注意した。一方で、自身の影響力を理解しているためか、厳しく叱咤した選手には必ずフォローを入れている。この場面でも、「頑張ってるのは評価しますよ。前田さんさっきからすごい走ってくれてる」と褒めている。後半12分にも「前田さんのこのプレス!」と称賛した。本田は、コスタリカ戦でも遠藤航のミドルシュートの精度を悔やんだ後に「あいつ、どこでもおんねん」と縦横無尽に顔を出す運動量の豊富さを讃えていた。
イニエスタに直接「日本人の本音」…漂う緊張感
<名言2>
「日本勝ってる時にちょっと冗談やめてもらっていいかな」(後半13分)
本田の本音はピッチ外にも向けられる。ピッチ解説の槙野智章(ヴィッセル神戸)が途中出場のフェラン・トーレスについて、「ルイス・エンリケ監督の娘と付き合ってるんですよ。そういう意味では、絶対にゴール決めたい、いいプレーしたいと思ってるんじゃないですか」という情報を伝えると、「冗談やめてもらっていいかな?」と引き締めた。槙野は「すみません、すみません」と慌てて謝罪。通常であれば、放送が終わった後にダメ出しをしそうだが、本田は生放送中に注意。この緊張感も視聴者を惹きつける1つの要因だろう。
<名言3>
「(イニエスタに)スペインには負けてほしいと思ってます」(ハーフタイム)
後輩に直言するだけでなく、スペインの至宝であるイニエスタにも遠慮はない。ハーフタイムに対面すると、はっきりと「スペインには負けてほしいと思ってます」と言い切った。ただし、会えた喜びと尊敬の意を表したり、「(ヴィッセル神戸の選手として)日本に来てくれてありがとうと思ってます」と感謝を示したりした後に、この言葉を伝えている。決して非礼でもなければ、挑発でもなかった。