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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「身体が男の子でも、心は女の子」フィギュア“世界初”14歳のトランスジェンダー選手が語る壮絶な半生「女子トイレを使えない嫌がらせも」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2022/12/07 11:01
今年10月、ジュニアGPのイタリア大会でSPの演技を披露するマリア・レイクダル。2年前に戸籍の性別を変えたマリアに話を聞いた
そして、帰国後、7月にサンパウロで行なわれたブラジル選手権兼ラテンアメリカ選手権で優勝。ブラジル代表として今年のジュニアグランプリシリーズ(以下、JGP)に出場する権利を獲得した。
この記事の冒頭で紹介したように、9月、リガ大会に出場すると、10月のエーニャ(イタリア)大会にも出場。結果は44選手中39位で、優勝したのは吉田陽菜(17)だった。JGPでの女子は今年10月までの6大会中、吉田と島田麻央(13)が2度ずつ、中井亜美(14)が1度優勝しており、日本勢が圧倒的に強い。
男女差はある?
この年齢の男女に大きな差はあるのか――。そういった疑問に対し、グスタヴォは、「ブラジルの最高学府であるサンパウロ大学の専門家から、『成人となってから性を変更した場合とは異なり、(マリアが男性としての成長を遅らせる措置を受けた)12歳では男女の運動能力に大きな差はない。この年齢で男性から女性になってもアドバンテージにはならない』と聞いた」と語っている。
実際、マリアのISUの公式大会での自己ベストは83.62。出場した2つの大会でトップ選手たちとは120点近い差がある。フィギュアスケートは門外漢の筆者から見ても、ジャンプの回転数やスケーティング技術など、現時点でトップ選手とはかなりの差があるのは一目瞭然だ。しかも、練習環境の点でとてつもないハンディを背負う彼女にとって今後、この差を縮めるのは容易ではない。
夢は「ミラノ五輪出場」と語る本人にじっくり話を聞くと…
それでも、マリアは「私はフィギュアスケートが大好きなの。夢は、2026年にイタリアで行なわれるミラノ・コルティナ五輪にブラジル代表として出場すること」と目を輝かせる。まさに想像を絶する壮絶な人生を歩む彼女に自身の境遇について、じっくり話を聞くと……(第2回へ続く)
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。