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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「身体が男の子でも、心は女の子」フィギュア“世界初”14歳のトランスジェンダー選手が語る壮絶な半生「女子トイレを使えない嫌がらせも」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2022/12/07 11:01
今年10月、ジュニアGPのイタリア大会でSPの演技を披露するマリア・レイクダル。2年前に戸籍の性別を変えたマリアに話を聞いた
2018年、10歳で国内の幼年女子の大会にジョアン・レイクダルとして出て優勝。翌年、ブラジル選手権のノービス(12歳以下)の部に出場して準優勝。この年、ブラジル南部で行なわれる南米選手権への出場資格を手にした。
「ところが、ここで問題が持ち上がった。当時、マリアの戸籍上の名前はジョアンで、性別は男となっていた。そのため、南米選手権の女子シングルには出場できないと言われたんだ」(グスタヴォ)
しかし、両親は諦めなかった。クリチーバの地方裁判所へ訴えて出場資格を求め、大会当日になって出場が認められた。
「出場できることになったのは幸いだったが、他の問題もあった。これは嫌がらせだと思うのだが、試合会場で練習させてもらえず、女子トイレを使うことも許されなかった。さらに、演技の順番が最後と告げられていたのに、突然、最初に変更された。こういうことがあって、ひどく動揺していた。何度も転倒し、途中から泣きながら演技をした」(グスタヴォ)
12歳から男性としての成長を遅らせる措置を受けた
2020年初め、12歳のジョアンはサンパウロ市内の病院で男性としての成長を遅らせる医療措置を受けた。
「ブラジルでは、性転換手術ができるのは18歳になってから。ただ、マリアは女性として生きることを強く望んだので、このような措置を施した」(グスタヴォ)
そして、身分証明書の名前と性別の変更を申請した。これが認められ、この年の8月、名前を「マリア・ジョアキーナ・カヴァルカンチ・レイクダル」、性別を男から女に変えた。