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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「身体が男の子でも、心は女の子」フィギュア“世界初”14歳のトランスジェンダー選手が語る壮絶な半生「女子トイレを使えない嫌がらせも」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2022/12/07 11:01
今年10月、ジュニアGPのイタリア大会でSPの演技を披露するマリア・レイクダル。2年前に戸籍の性別を変えたマリアに話を聞いた
マリアになった日「それまでの人生で最良の日でした」
「新しい身分証明書を手にして、本当に嬉しかった。それまでの人生で最良の日でした」(マリア)
こうして、「マリア・レイクダル」という名の女性として競技会に出場できるようになった。
そして、昨年、彼女はフィギュアスケートで世界を目指すことを決意した。
しかし、ここでまた別の難題が立ちはだかった。気候が熱帯や亜熱帯のブラジルには、アイスリンクがほとんどない。ごく稀にショッピングモールの中に小さなリンクがあるが、それは一般の愛好者のためのもので、トップアスリートを目指す者が練習に使えるような代物ではない。
400kmほど離れたサンパウロのアイスリンクへ練習に
そこで、普段は両親が経営するインラインスケート用のリンクで練習し、時折、400kmほど離れたサンパウロにあるアイスリンクへ行って週末だけ練習するようになった。
このリンクにしても、面積は486㎡に過ぎず、フィギュアスケートの公式競技会が行なわれる国際規格1800㎡の4分の1強でしかない。また、ブラジルにはフィギュアスケートを専門に教えるコーチがいない。
要するに、フィギュアスケートの選手として世界と戦うには致命的とも思えるハンディをいくつも背負っている。
今年、ジュニアGPという世界大会に出場を果たす
それでも、昨年12月、マリアはジュニアのブラジル選手権女子シングルに出場し、優勝した。
今年5月にはブラジル・アイススポーツ連盟の強化指定選手となり、1カ月間、ベルガモ(イタリア)で強化合宿を行なった。彼女がフィギュアスケートのプロコーチに指導を受けたのは、これが初めてだった。