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「天使と悪魔が戦ってて…」世界女王・坂本花織22歳が五輪メダル後のシーズンで抱える葛藤「今季あらゆる場面で、悪魔が言うんです」 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byAsami Enomoto

posted2022/11/24 11:00

「天使と悪魔が戦ってて…」世界女王・坂本花織22歳が五輪メダル後のシーズンで抱える葛藤「今季あらゆる場面で、悪魔が言うんです」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

NHK杯で銀メダルを獲得し、GPファイナル進出を決めた坂本花織

 そうは言ったものの、どうやって気持ちを切り替えれば良いのか。国際大会の経験が少ない渡辺に、次々と周りからのサポートが集まった。荒川静香は「倫果ちゃんらしくやれば大丈夫」とのメッセージを、高橋大輔も気にかけているということを、中庭健介コーチ経由で伝えてくれた。また自分のトレーナーからも「プレッシャーは自分が勝手に作り出しているもの、そんなものは無いんだから感じる必要はないんだよ」と言われ「気持ちが少し楽になりました」

宇野のインタビュー記事を見て「ああこれだなって」

 さらに夜、宇野昌磨のインタビュー記事が目に留まった。4回転フリップの調子が悪く苛立っていた時に、ステファン・ランビエルコーチから「完璧というのは目指すものではなくて、1つ1つやっていった先に待っているもの」という言葉をかけられたエピソードだった。

「記事をみて『ああこれだな』って思って。宇野選手のスケートに対する考え方は本当に尊敬しているんです」

 多くの言葉を胸に挑んだフリー本番。冒頭のトリプルアクセルは片足で降り、オーバーターンになったが耐えた。

「中庭先生から『よく耐えたね』って言われました。この舞台で、片足で立てたのは良かったですね。大舞台で怖くなるという経験をしたことすらなかったので、今後に活かせる経験になりました」

 総合188.07点で5位に追い上げると、ファイナル進出はフィンランド大会(11月25~27日)の結果次第という状況に。可能性をまだ残していることを言われると「やめて~そんなこと言わないで~」と言って耳をふさぎ、笑顔を見せた。

 ロシア女子が不在となり大技がなくとも表彰台に乗れる状況が続くなか、それでもトリプルアクセルや4回転に挑んだ若手女子2人。これから訪れる新時代を背負う気概が、全身から溢れていた。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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