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「天使と悪魔が戦ってて…」世界女王・坂本花織22歳が五輪メダル後のシーズンで抱える葛藤「今季あらゆる場面で、悪魔が言うんです」
posted2022/11/24 11:00
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto
五輪シーズンを駆け抜け世界女王として迎える今季、坂本花織(22)は葛藤していた。
「世界女王だってことは考えないようにしていたし、追われる立場という気持ちはないと思っていたんです。でも、どこかでちょっと思ってるのかな、そんな感じがしました。去年までの自分みたいに強気になれないんです」
今季2戦目となるNHK杯(11月18~20日)で、ショート2位発進となった坂本はそう吐露した。強気になれない原因を聞かれると、奥歯に物が挟まったように答える。
「去年は、五輪に出たいから(12月の)全日本選手権に間に合わせないといけない、という必死の思いで臨んでました。でも今年は、練習での集中力が去年とは違う。原因は色々あるんですけど……。自分の中で落とし込んでから頑張ろうという気持ちです」
フリーでの逆転はならず、NHK杯3連覇を逃しての銀メダルに。すると坂本は、自分の心を探るかのように「原因」について、重たかった口を開いた。
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振り返れば、昨季は北京五輪で強豪ロシア女子の一角を崩しての銅メダルを獲得、さらに世界選手権で優勝。全力で駆け抜けたシーズンの後、モチベーションの維持が難しいのは当然のことだった。中野園子コーチが指摘する。
「平昌五輪の翌年や、その翌年に(4回転で)苦しんだ時とは、またちょっと種類が違うと思います。気の緩みというよりは、自分の中で葛藤していると思います」
その葛藤について、坂本はこう吐露する。