僕の向上心との差が自分を苦しめてきたこともある

「スケートに対する自分の基準の高さというのが去年からどんどん高くなっているなっていうのは思うんですけど、ただ、いつまでもずっとうまくいくことはないんだなというのはこの2年間で思いましたね。絶対どこかで失敗してどこかでつまずいて、でも、僕の向上心はどんどん上がっていっている。その差が自分を苦しめてきたこともあるので、そこは直していかなければいけない一面ではあるかなと思います。ただ、より高みを目指す部分があって、オリンピックや世界選手権が終わった後に決して失速することなく、スケートと向き合えています」

NHK杯の表彰式　©Asami Enomoto

　昨シーズン、オリンピックで2大会連続の表彰台となる銅メダル、世界選手権では金メダルを手にした。新たなシーズンを迎え、同じような緊張感と意欲を持つのは誰だって容易ではない。だが宇野は、飽くなき向上心に裏付けられた練習への姿勢があるからこそ立ち止まることなく、スケートに向き合い続けることができている。立ち止まらない姿勢こそ宇野の真骨頂だ。

宇野がこの大会で心からの笑顔を見せた瞬間

NHK杯表彰式　©Asami Enomoto

　苛立ちも見せながらも、自身のスタンスをあらためて再認識し、NHK杯は終わった。優勝後の取材時も淡々と答えていた宇野だったが、この大会で心からの笑顔を見せた瞬間があった。宇野が演技を終えたあとリンクサイドに残って見守っていた最終滑走者の山本草太が2位となり、グランプリファイナル進出を決めたときだ。

　その開けっ広げの笑顔もまた、宇野の真骨頂を示していた。

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