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1頭だけ伸びが違う…マイルチャンピオンシップで突き抜けた3歳馬セリフォスの“ハンパない強さ” 騎手も「海外のどこに行っても通用する」
posted2022/11/21 12:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
ハイレベルな3歳世代の1頭が、大外一気の豪脚で、マイル界の天下統一へ勝ち名乗りを上げた。
第39回マイルチャンピオンシップ(11月20日、阪神芝外回り1600m、3歳以上GI)で、ダミアン・レーンが騎乗した6番人気のセリフォス(牡3歳、父ダイワメジャー、栗東・中内田充正厩舎)が、2着を1馬身1/4突き放して優勝。GI初勝利を遂げた。
2着は8番人気のダノンザキッド、3着は2番人気のソダシ。1番人気のシュネルマイスターは5着だった。
セリフォスの強さはハンパじゃない
1頭だけ伸びが違った。セリフォスは、直線入口では先頭から10馬身以上離れた後方2、3番手にいた。ラスト400m地点で大外に出て、ラスト300m付近でレーンの手の動きが激しくなると徐々に加速。ラスト150mでステッキが入ると、もう1段ギアを上げ、内の馬たちを次々とかわして行く。ゴールまで5完歩ほどのところで抜け出して勝負を決め、最後は流すようにゴールを駆け抜けた。
日本では2019年の有馬記念(リスグラシュー)以来4度目のGI勝利を挙げたレーンはこう振り返る。
「前走のVTRを見たらとてもいい勝ち方でしたし、追い切りに乗ったときの動きもよかった。今日は自信を持って乗ることができました。若干後ろのポジションになり、直線入口で前と離れていたので届くかなと一瞬思いましたが、素晴らしい反応でした。馬が最高の脚を見せてくれました」
勝ちタイムは1分32秒5。前半の半マイルが46秒6、後半が45秒9と、良馬場のマイルGIにしては落ちついた流れになった。こうなると、最後にどの馬もいい脚を使えるので、あまり差がつかずに決着するものだが、セリフォスは楽に1馬身1/4突き抜けた。この強さはハンパじゃない。
上がり3ハロンはメンバー最速の33秒0。昨年の朝日杯フューチュリティステークスでも、今年のNHKマイルカップでも1番人気に推されながら2、4着に敗れた悔しさを、桁違いの豪脚で晴らした。
その末脚を引き出すべく、序盤は無理に前を追いかけずに控え、スムーズに外から押し上げたレーンの手綱さばきも見事だった。