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「ギャン期」ウナギ・サヤカとタイガー・クイーンの“初遭遇”に見た期待感…正反対の2人は女子プロレス界の看板カードになり得るか? 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/11/20 17:00

「ギャン期」ウナギ・サヤカとタイガー・クイーンの“初遭遇”に見た期待感…正反対の2人は女子プロレス界の看板カードになり得るか?<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

ディアナ後楽園大会で初遭遇となったウナギ・サヤカとタイガー・クイーン

「あれは傾奇者としての挨拶です」

 そんな中で、どんどん前に出たのがウナギだった。ゴング前、リング中央に進むと「神取、出てこい!」。いきなりの挑発に相手陣営が表情を硬くする。神取が出てこないと見るや、今度は「じゃあ京子でいいや」である。

「あれは傾奇者としての挨拶です」

 試合後のウナギは言った。ウナギ自身、このメンバーと試合ができるなんて思っていなかったそうだ。当然、敬意は持っている。京子が出てくると、握手とともに深々と頭を下げた。かと思うとスタンガンで威嚇してくる貴子を「バチバチおばさん」と呼んだりもしている。単純に“胸を借りる”という姿勢ではなかった。後日、話を聞くとウナギはレジェンドたちへの気持ちを教えてくれた。

「せっかくやるんだから“胸を借りました、勉強になりました。ありがとうございました”で終わりたくないじゃないですか。あの人たちの全盛期はいつかっていったら、たぶんみんな90年代だって言うと思うんですよ。確かに凄い試合をしてましたよね。じゃあ、いま闘う私はどうなんだって」

 自分はレジェンドの“余生”に軽く触れただけなのか。京子や貴子や神取のキャリアにとって特に意味のない存在なのか。そんなのは絶対に嫌だとウナギは思った。それぞれの歴史に自分の存在を刻み込む。そこまでやってこその“ギャン期”だと。だから挑発もするし、また闘いたい。試合後もしつこく貴子たちに絡んでいったのは、そういう思いがあるからだ。

タイガー・クイーン、ウナギとの初遭遇

 その一方、同時代のライバルになりそうなのがタイガー・クイーンだ。初代タイガーマスクの佐山聡とジャガー横田が育てた“謎のマスクウーマン”。昨年7月のデビュー以降、格上の選手を次々と下してきた。いまだ3カウントもギブアップも奪われていない。

 クイーンは佐山率いるストロングスタイルプロレス女子部門のエース的な存在。結果を出し続けてはいるものの試合数は多くない。特殊な立ち位置ゆえ、なかなかストーリーを紡ぐことができていなかった。

【次ページ】 タイガー・クイーン、ウナギとの初遭遇

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