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「ギャン期」ウナギ・サヤカとタイガー・クイーンの“初遭遇”に見た期待感…正反対の2人は女子プロレス界の看板カードになり得るか?
posted2022/11/20 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
今年、女子プロレス界のマッチメイクは大きく変わった。フリー選手が激増したためだ。
アイスリボンからは、昨年いっぱいで世羅りさ、鈴季すずらが退団。フリーユニット・プロミネンスを結成しさまざまな団体に出場するとともに、自主興行も開催している。アクトレスガールズの活動内容変更により退団した選手たちも多い。SAKI率いるCOLOR'Sもユニットとして幅広く活躍している。フリー選手だけの大会『NOMADS'』旗揚げも今年だ。
プロミネンスとCOLOR'Sはスターダムにも参戦。ジュリアvs.すず実現をはじめ、ドラマティックな展開がいくつも見られた。またスターダムは今年から若手主体興行『NEW BLOOD』や変則ルールの大会『SHOWCASE』を定期開催。ここに他団体、フリーの選手が大量に出場している。
ウナギ・サヤカの「ギャン期」
スターダムから他団体に参戦する選手も出てきた。ウナギ・サヤカだ。リーグ戦「5★STAR GP」を不本意な戦績で終えてしまったウナギは、10月からJUST TAP OUT、マーベラス、ディアナと次々に新たな舞台へ。スターダムに出ることもあるしスターダムのユニット「コズミック・エンジェルズ」のメンバーではあるが、動き方としてはフリーのそれだ。ただウナギは現在の自分を「ギャン期」と称し、所属や立ち位置に関しては明言していない。「ギャン/ぎゃん」はウナギがよく使うフレーズ。「“アロハ”みたいなものでいろんな意味に使うもの」だそうだ。
どうとでも取れるし、どう取ってもらってもいい。スターダム所属だからあれはできない、フリーだとこうなるといった枠組み自体を意識してほしくないようだ。とにかくウナギ・サヤカの闘いそのものに注目してほしいと本人は考えている。というより、たとえば半年先のウナギ・サヤカがどうなっているか、自分でも分からないという。
いや本当に、数カ月前には想像もしていなかったような試合が実現している。10月16日のディアナ後楽園大会では、異色としか言いようがないカードが組まれた。メインイベントの8人タッグマッチ。ウナギはディアナのシングル王者である佐藤綾子、PURE-Jのトップ選手・中森華子、高校生レスラー・ななみとチームを結成。
対戦したのは井上京子&井上貴子&神取忍&タイガー・クイーン。女子プロレスのレジェンド3人に“女子版タイガーマスク”という顔ぶれは、ただ並んでいるだけでもインパクト絶大だ。