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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「林下詩美は強い。そのイメージを取り戻したい」王座陥落から1年弱…“カッコいい女”はスターダムの頂に返り咲けるのか《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/11/17 11:03
刀羅ナツコとの再戦を経て「完全復活」へと歩みを進める林下詩美。11月19日、朱里が持つ赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)に挑む
「まあカッコいいんで、仕方ないですね」
インタビュー中、旅行の話になると、林下は故郷の奄美大島を懐かしんだ。
「来年は普通に旅行できるかなあ。そろそろ奄美に行きたいですね。高校卒業した18歳から帰っていないんですよ。向こうに友達はいっぱいいるんで、みんなとお酒飲んで、母校を見に行きたい。あとは、海でボーっとしたいですね(笑)。地元での知名度? どうなんでしょうね。奄美の人と結婚したお姉ちゃんは、ちょくちょく『林下詩美のサインを』と言われているみたいです。奄美は無理でしょうけど、鹿児島で凱旋試合もやりたいな」
プロレスラーとしての地位を確立し、もはや「ビッグダディの三女」と呼ばれることも少なくなった。現在の人気ぶりについて、本人は冷静に自己分析する。
「今はたくさんの人に見てもらっていますが、いつまでもこのままずっとうまくいくとは限らない。だから、SNSとかも頑張らなきゃ。あんまり得意じゃないですけど(笑)。試合じゃないとこでも価値を出していきたい。最近は女性や海外のファンも増えてきて『私、やっぱり華があるのかな』と(笑)。まあカッコいいんで、仕方ないですね」
自慢のビジュアルをさらに引き立てる努力は惜しまない。つい最近、林下はガウンを新調した。
「前のガウンはオカダさんっぽい感じで、新しいガウンは王様や女王様のイメージ。着やすいように前開きをリクエストしました。裏地の柄も見えるようにカッコよくデザインしてもらって、気に入っています」
林下の“カッコよさ”へのこだわりは、プロレスラーとしての価値にもつながっている。
「この方がカッコいい、と思ったら、誰からでも取り入れています。そういう意味で、私のカッコよさに上限はないですね。常に進化しているので」
では、“強さ”についてはどうだろうか。赤いベルトを失ったことで、「外から見たときに、『強い』というイメージは薄くなったかもしれない」と林下は認める。とはいえ、「カッコいいだけのプロレスラー」になるつもりは毛頭ない。
「周りの見方が変わったとしても、私の中で、自分の強さへの信頼は揺らいでいないので。『女子プロレス界で強い人』といえば林下詩美。そのイメージを取り戻したい」
11月19日に迫った朱里との大一番では、強い林下詩美が見たい。
<岩谷麻優編へ続く>
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