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新庄剛志が苦手だった? ロッテ吉井監督が「ボコボコに打たれた」と語る苦い記憶とは…“野村克也”直伝のネーミング対決にも注目
posted2022/11/14 17:00
text by
千葉ロッテマリーンズ取材班Chiba Lotte Marines
photograph by
Naoya Sanuki / JIJI PRESS
ロッテの新指揮官、吉井理人監督(57歳)は筑波大学大学院で勉強するなど“理論派”として知られているが、普段はお茶目な側面をファンに見せてくれる。自身のブログの締めは決まって「ほな、また」。自分の事は「ワシ」と呼ぶ。ちなみに子どもの時は「ボク」と呼んでいたらしい(本人談)。「ワシ」が周囲に定着した今にいたっては新しいイメージ像にチャレンジしようと「拙者」、もしくは「おいら」にしようかと本気で悩む生粋の関西人だ。
そんな吉井監督にとって因縁のライバルがいる。日本ハムのBIGBOSSこと新庄剛志監督。現役時代の“苦手な打者”として一番に名前を挙げる存在だ。
忘れられない試合がある。あれは1996年9月24日の甲子園でのゲーム。吉井は当時、31歳。近鉄からヤクルトに移籍して2年目のシーズンで、この日までに10勝7敗と2年連続で二桁勝利を達成するなど好調を維持していた。一方のこの年の新庄(当時24歳)はすでに16本塁打を放ち、この試合を4番・センターで出場している。
吉井は初回こそ2安打を打たれピンチを作ったが、2回、3回と無失点で切り抜けて徐々に調子を上げると得意のシュートが切れ、8回まで無失点。初回に土橋勝征内野手の二塁打で奪った1点を守り抜く形となった。いわゆる「スミ1」の展開で9回を迎えた。
「調子も良かったし、完封勝利できると思っていた」(吉井)
なにより先発投手にとって「スミ1」を守り抜く勝利ほど気持ちがいいものはない。そんな完封勝利目前で、最終回の先頭打者として登場したのが新庄だった。
「あれは本当にガクッときた」
ノっている男が投じた自慢のシュートは抜け球に。それを見逃さない新庄はフルスイングすると、打球はバックスクリーンへと吸い込まれていった。土壇場で同点に追いつかれると天を仰ぎ、夜空を見上げた。
「あれは本当にガクッときた。今でも覚えているぐらいだからね。よっぽど悔しかったんやと思う」