オリンピックPRESSBACK NUMBER
〈世界体操〉エース橋本大輝+日本女子が強く美しい 「ラブリースマイル」の絶賛、当初補欠も「平均台の女神が…」平均年齢19歳の素顔
posted2022/11/09 17:02
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph by
Ryota Hasebe
体操の日本女子が、周囲の予想を上回る活躍を見せた。
舞台は10月29日から11月6日まで英国のリバプールで行われた世界選手権。メンバーはオールラウンダータイプの宮田笙子、山田千遥、渡部葉月、得意種目を持つ坂口彩夏と深沢こころの5人。常に上位に来るロシア勢が母国によるウクライナ侵攻の影響により出場が許されなかった中、日本は団体総合で56年ぶりの表彰台まであと一歩と迫り、個人総合は宮田が8位入賞を果たす。さらに種目別平均台では渡部が金メダル、宮田も銅メダルに輝いた。
昨年の東京五輪後は村上茉愛や寺本明日香、杉原愛子、畠田瞳といった有力選手の引退などが続き、全員が世界選手権初代表という珍しいチームだった。平均年齢19歳。若い一方で国際舞台の経験はほとんどなく、田中光女子強化本部長は「団体決勝進出が最大目標」と話していた。
決勝には予選8位までが進める。目いっぱい力を出せば、日本は何とか予選を突破できるだろうと踏んでいた。それが、蓋を開ければ5位であっさり予選を通過。緊張感が増す決勝は終盤まで勢いに乗り、強豪国に交じって堂々と表彰台を争った。結局は最終種目の段違い平行棒でミスが出たため7位に終わったが、選手にとっては大きな自信になった。
「最終順位を見た時にみんなびっくり」
次世代のエース候補として期待以上の働きをした宮田は、5位に入った予選後にこう話した。
「ニュージャパンということで、予選通過できるのかという不安をみんなが抱えていたけど、実際に試合をやってみると『え?』みたいな(笑)。最終順位を見た時にみんなびっくりして、まだ心が追い付いていません」
予選は個人総合や種目別も兼ねており、個人総合は宮田が8位、山田は19位で突破。決勝で宮田は再び8位に入り、山田は14位まで順位を上げた。大会を通じて大きなミスを出さなかった山田は言った。
「先輩方が抜けて自分たちが新しい世代として活躍しなければならないという重圧を感じながらも、この大会はいいきっかけになったと思います。この経験をした人しか強くなれないと思うので、さらに強くなりたいです」
宮田も個人総合8位までが呼ばれた表彰式で記念品をもらい、きらびやかに演出されたセレモニーでメダリストたちと健闘をたたえ合った。
「本当にうれしくて、こんな選手たちと普通に……。もう、なんだか感情が分かんなかった」
まさに夢見心地。それでも「自分がそっち(表彰台)の立場になれるように、もっと頑張っていきたいとも思いました」。今後の練習は、さらに身が入りそうだ。
宮田が観客に与えたインパクトは想像以上だった
宮田が観客に与えたインパクトは、成績以上だったようだ。