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W杯代表・守田英正の妻が語る“超ハードな島生活”とは? 出会いは4年前「まさか家族として…」「子供をあやす姿を見たら驚くと思う(笑)」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byReina Fujisaka
posted2022/11/09 11:03
リスボンの街で子育てしながら守田英正を支える妻・藤阪れいなさん(左)。ポルトガル移住からW杯メンバー選出までの道のりを振り返ってもらった
一見、華やかなスポーツ選手との結婚だが、リスクは大きい。特にサッカー選手には怪我や移籍が付きまとい、30歳を超えれば引退も近づく。セカンドキャリアで苦労する例も少なくない。守田が“ほんのひと握り”の日本代表選手だとはいえ、結婚となると将来への不安を少なからず持っていても不思議ではない。
ただ、藤阪は「そういった不安はもちろんありました」と語った上で、「この人なら大丈夫だ」と思った理由を明かした。
「結婚するまで1年半でしたが、本人を見ていて“なんとなく”大丈夫そうだなと。普段メディアに出ている感じと違って、柔らかいというか、そういう優しい面は決心するポイントでしたけど、それ以上に不安をかき消してくれる雰囲気がありました」
守田はもともと人見知りな性格の上に、物事をストレートに伝えようとするため、TVインタビューだけでは誤解されやすいところがある。ただ、素顔の守田は関西人らしいノリの良さや子供好きな面を持ち合わせ、愛犬家としても知られている。藤阪も「ズバズバ言ったり、とんがっている感じでメディアには映りますけど、子どもをあやしているところを見ればサポーターの方々はびっくりすると思います」と笑う。
「こないだ、夜に娘がすごく泣いてしまって。それで私がミルクを作っている間、ヒデくんにあやしてもらおうと思ったら泣き止まなくて、私が変わった瞬間に泣き止んだんです。その姿を見て、愛犬の麦(むぎ)に向かって『むーちゃんはオレが一番好きだもんなー』って言っていましたけど、あれは絶対にちょっと傷ついていました(笑)」
過酷だった“小さな島”での新婚生活
そんな夫妻の絆が深まったのが、守田のサッカーキャリアにとって大きなターニングポイントになったサンタクララへの移籍だった。
初の欧州移籍というのはもちろん、拠点となるのはポルトガルのアゾレス諸島にある1つの小さな島。島内には日本人がほとんどおらず、カタコトのポルトガル語も全く通じない。日本食を置くスーパーは当然なく、ショッピングできるデパートも1つしかなかった。
そういった環境において、サッカーだけでなく全てのことを1人でこなすのは簡単なことではない。以前に守田もこんな本音を明かしている。
「キツいどころじゃないです(笑)。もともと(自分は)寂しがり屋なところもありますけど、急に1人になって、サッカーの環境もあまり良くなく、美味しいものも周りに何ひとつないってなった時、ストレスをどこにぶつければいいかわからないほどでした」(守田)
妻として夫を支えるために島生活を共にするわけだが、藤阪も「(愛犬の)麦がいてくれなかったら、鬱になってもおかしくなかったと思います」と同調する。アウェイで試合がある時は、全て飛行機移動となるため前日から試合翌日までの3日間、夫が帰ってくることはない。そんな中、友人や知り合いもおらず、散歩に出掛ける用事すらなければ、「家に引きこもる生活になっていた」となるのは無理もない。