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「露出はお尻までと決めていた」元アイドルレスラー・工藤めぐみは“写真集&グラビア撮影”をどう思っていた? 性的画像に感じた「悲しさ」
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byHideki Sugiyama/AFLO
posted2022/11/11 11:02
現在53歳となった元女子レスラーの工藤めぐみさん。現役時代の写真集撮影の裏側などを聞いた
――相手も粘り腰ですね。デスマッチで負った傷が、グラビア撮影に差し支えたことはありませんか。
工藤 ありました。迷惑をかけちゃったこともあって、試合前にポスターの撮影があったんですね。けど、額に傷を作っちゃって、化粧で隠せないぐらい、エグれてたんですよ。メイクさんは「ファンデーションでカバーしますね」って言ったんですけど、傷を見たら埋めこまないといけないレベル。結局コンシーラーで隠したんですけど、ポスターって画質が大きいので、限界があった。写真集でも、傷やアザが残ったままのはいくつもあるんですけど、撮影が決まってるからといって、試合で手を抜くことはできないから、それはしょうがない。女子プロレスラーが出す写真集はこういったものだと思って、見てもらうしかないなぁと。
――レタッチ(修正)もできたと思いますが……。
工藤 「ここ、直してください」って言うと、荒井社長が「お金がかかるからダメ」って(笑)。男子メインの団体だったので、女子に対する配慮が行き届いてないというか、そういった部分では、雑に扱われたかもしれない(笑)。
性的画像に「頑張りが違う部分で注目されるのは悲しい」
――ネット普及前、美人女子プロレスラーのリング内外のきわどいショットが、一般誌でしょっちゅう特集されていました。当事者としては、どんな思いでしたか。
工藤 こんなのがおもしろいのかなって、冷めた感じでした。女子プロレスラーが認知されるのって、まだまだ試合内容じゃなくて、こういうところなんだって、悲しい思いですよね。プロレスラーだけじゃなくてほかの競技、たとえば体操やビーチバレーのように、ぴったりとフィットしたコスチュームを着てる女性たちのそういう写真は目にしていて、選手の頑張りが違う部分で注目されちゃうのは、悲しいなって。まだまだそういう目でしか見られていないのは、つらいなって思いますね。
――いま、20代のころの自分の写真集を見返して、どう思いますか。
工藤 いい経験をさせてもらえたなと思いますね。辞めた人間がもう一度プロレスラーになれて、CDデビューもさせていただいて、写真集も出させてもらえて、“邪道姫”という名前をいただいて、ほかの人ができないデスマッチもやらせていただいた。たくさんのご褒美をいただいて、ここまで来たことは自分でも不思議。実際に写真集を手に取っても、自分じゃないようで。引退の試合を観ても、「これが私がやってきたことなんだな」って思いつつも、どこかで他人事として見ている部分もあって。ほんとに幸せなプロレス人生を送らせてもらったなぁって、感謝しかないですね。
《つづく》
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