「チケットを何枚売る、集客がどのくらいできる……。スポーツで格闘技をやっている以上、それを判定に影響させてしまったら、結局スポーツとして発展しない。対戦相手にも失礼だと思う」

　このときの発言がもとで梅野のSNSは炎上したが、試合後の会見では「僕はムエタイファイターとして世界最高峰の試合をRIZINに持ってきたい」という希望も述べていた。今回のガーダム戦は、その希望が通ったうえでのマッチメークだった。このあたりがRIZINの懐の深いところだ。

“ベビ梅”たちへ「お前ら、早く大人の梅になれ」

　ガーダム戦に至る過程の中で、かつてはクールが売りだった梅野のキャラクターは崩壊し、その時々の自らの振る舞いを“○○梅（うめ）”と定義する梅キャラに変貌した。冒頭の記者に対する「学んでいただけました？」という問いかけは“学梅”。ガーダム戦後は“怒梅”となり、その矛先は梅野の驚く表情をクローズアップした煽りVを編集した映像ディレクターに向けられた。

「あれ、ふざけていますよね。お前の方がやばいぞっていう。ちょっと作った人をあとから調べて、『お前の方がやばいぞ』ということを学ばせようと思います」

2022年3月20日の『RIZIN.34』、皇治戦の判定に不満をあらわにする梅野源治。このときの「やばいだろ！」が決めゼリフとして定着した　©RIZIN FF Susumu Nagao

　もっとも、いまの世の中では何が人々の心に引っかかるかわからない。この日、梅野の口癖である「やばいだろ」はTwitterのトレンド入りを果たしたが、梅野はリング外での煽り方にも暗黙のルールが必要であることを訴えた。

「（そういうことをやるにしても）僕は誰も傷つけていない。誰も傷つけないで、自分のやりたい方向にもっていく。“ベビ梅”たちはもっと俺のことを学んだ方がいい」

　ベビ梅＝子どもの梅の意。彼の言葉を借りれば、それは梅野の発言をまだ理解していないファン、あるいはYouTubeなどで梅野を揶揄する発言をした同業者や関係者を指す。

「お前ら、大人の梅になれといいたい」

　一方で自身を支持し始めたファンも、梅野は“ベビ梅”と表現する。いい方向に導けば、無垢な子どもたちもいずれは梅野支持者になるということか。そういえば、ガーダム戦後に梅野が花道を戻ろうとすると、両脇には数えきれないほどの“ベビ梅”が群がっていた。彼を支持する人は確実に増えてきている。

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