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師匠・辰吉の薬師寺戦を超えられるか? 京口紘人が“因縁の相手”寺地拳四朗との日本人王者対決を語る「立場は自分の方が格上」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byShunsuke Mizukami

posted2022/10/31 17:01

師匠・辰吉の薬師寺戦を超えられるか? 京口紘人が“因縁の相手”寺地拳四朗との日本人王者対決を語る「立場は自分の方が格上」<Number Web> photograph by Shunsuke Mizukami

寺地拳四朗(WBC世界ライトフライ級王者)との統一戦に挑むWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人。寺地の実力を認めながらも、圧倒することを誓った

 過去2戦はアメリカ、メキシコで防衛戦をして、前戦のメキシコでの試合もKO勝ちができてよかったなと思います。あの試合でレフェリーから2度の減点を受けたのは予想外で、あれはちょっと辛かった。まあでもああやって不利な展開になったからこそ、最後は連打でKO勝ちできましたし、そういう中で仕留めたっていうのは高い評価につながっているのかなとは思います。

 敵地のファンからはブーイングもされましたけど、でも違う国の対戦相手にブーイングするって自国の王者への愛がないとできないじゃないですか。文化の違いもありますけど、もともとボクシングに愛があって、自分の国の選手を応援したいがゆえの行動だと思うんです。リング上にコップまで投げ込まれて、それは肯定されるべき行動ではないけど、「何してくれてんねん!」という気持ちより「そこまでできるのか。すごいな」って感心させられたんです。それらも含めて海外でしか起こらないことが起きたので、今ではいい経験になったのかなとは思っています。

 これまでの僕はライトフライ級で世界戦を5度行い、そのうち3つがマカオ、アメリカ、さっきまで話したメキシコと海外開催で、その3つともKO、TKOで勝っています。結果的に見れば優れた実績を挙げているなと思いますけど、ただ近年の日本ボクシング界はすごいじゃないですか。だからあまり慢心はしていないし、比較的冷静なのかなと思います。

 僕の実績は20年、30年後くらいに評価されるんじゃないですかね。同じことを成し遂げられる選手が果たしてこの先に出てくるのか。なんだかんだ言って京口は強かったなって言われるとは思っています。

同い年の井上尚弥「ケツを叩かれます」

 同じ世界チャンピオンの井上尚弥は引っ張っていってくれる存在ですかね。同級生で同い年ですし、特別な存在ではあるかなと思います。彼が見ているのはもっと上の世界かもしれないですけど、仲がいいですし、ケツを叩かれます。直接戦うことはないですけど、いい意味でのライバルかもしれないですね。

 そうやって現代には多くの強い日本人ボクサーがいて、僕も過去に2度、日本人選手と対戦しています。でもその際は特に意識はありませんでした。日本人で特別なものを感じる相手というのは、拳四朗選手が唯一で、他にいないんじゃないですかね。自分がアマチュア時代に戦った中でも拳四朗選手以外にプロで活躍されている方はもういません。

 そういった意味で、因縁と呼べる対戦相手は拳四朗選手以外にはいないと思っています。

 アマチュア時代に対戦した際も拳四朗選手は強かった記憶が残っています。当時、自分はまだ身体ができあがっていなかった中で、彼は2学年上の選手だったんですけど、ジャブがよくて、手数が出るファイターの印象が強かったですね。プロになってからはどっちかというと距離をしっかり保ちつつ、前の手で組み立てるボクサーになったなという感じではあります。

 そんな経緯を見て来ていたから、矢吹選手とのリマッチでファイタースタイルで来たというのは僕にとってはあまり驚きではなかったんです。どこか懐かしく、アマチュア時代に色を付けたみたいな戦い方でしたね。

【次ページ】 「実力は認めている」「後半勝負になる」

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